「今後『銀座ママ』と銘打った講演を開いたり、そうしたタイトルの動画をSNSなどで上げようと思った場合、どうすればいいのでしょうか」
ある銀座のクラブママはそう不安を吐露する。今年4月と7月に、「銀座ママ」「銀座のママ」が商標登録されていたことが発覚したからだ。
「登録したのは『銀座クラブ高嶋』の高嶋りえ子ママです。彼女は自身の名前を冠した化粧品も展開していて、年商40億円を売り上げている敏腕経営者としてバラエティ番組にも多数出演しています」(同前)
高嶋氏は、「銀座のママが作った」、「銀座ママプロデュース」など「銀座」「ママ」に関連した言葉を多数商標登録している。実際にどのような影響があるのか。知的財産権に詳しい弁理士・栗原潔氏が語る。
「高嶋さんは小売業と広告業で申請を行なっていますので、『銀座ママ』と銘打った講演を開いたり、動画を上げたりすることに問題はありません。一方で、店名に『銀座ママ』と入った小売店を開いたり、『銀座ママ』を冠したブランドを立ち上げると商標権の侵害にあたる可能性があります」
別の銀座クラブママはこう嘆息する。
「弁護士のお客様から聞いて商標登録されたことは知っていました。その方から、『お店に何か影響が出ることはない』と聞いたので、不安がっていた他のママさんたちにもそう説明しています。ただ、なぜ多くの銀座ママがいるなかで商標登録が必要なのでしょうか」
高嶋氏に聞くと、「『銀座のママ』『銀座ママ』というブランド力を生かして様々な商品やサービスを提供したところ、ビジネスが大きく伸び、同様の商標を用いて真似をされることにより混同を生じるようになってきたため、商標登録を行ないました」とのこと。
“あるがママ”ではいけなかったのか。
※週刊ポスト2021年12月10日号