東京五輪のことなど忘れた頃に、巨額の請求書が国民に回ってくる。五輪組織委員会は無観客開催となり約900億円のチケット収入が消えたうえ、払い戻しのためのシステム開発などに110億円の追加経費がかかるなど大赤字は必至だ。
しかも、五輪費用は現在も増え続けている。大会時点で職員7000人を抱えていた組織委員会は10月から組織を縮小したものの、それでも職員数は大企業並みの約1150人。人件費だけでもバカにならない。
本誌・週刊ポストは五輪開催中の今年7月、競技場の建設費など大会経費と関連経費を合わせると、東京都民は「10万3929円」、都民負担金額を除いた国民1人あたり(都民を含む)の五輪負担は「1万408円」になると報じた(8月13日号)。
巨額予算を動かす組織委員会はその後もとんでもない経費の無駄遣いをしていた。国立競技場で1万個用意した開会式用の弁当を約4000個廃棄したのをはじめ、42の競技会場のうち20会場で約13万個の弁当を賞味期限が切れる前に廃棄していた。
組織委は9か所の競技会場にコロナ対策で用意した未使用のマスク約3万3000枚、医療用ガウン約3400枚、消毒液約380本を「保管場所がない」という理由で廃棄。使い道のないアベノマスクは6億円を超える費用をかけて保管していることを考えると、あまりにチグハグだ。
誰も責任を取らない
客が宿泊しないホテルにも巨額の費用が支払われた。組織委は会場周辺のホテル約4万6000室を仮予約したが、早い段階でコロナで国際競技団体のスタッフやスポンサー関係の招待客の人数が減らされることが決まった。
にもかかわらず、予約をキャンセルせずに一部のホテルが空室だらけと報じられた。組織委は、「医療関係者等の新たに生じた宿泊需要に充てるなど、有効活用を図った」と回答したが、不泊となった室数や費用総額は「契約内容に係る」という理由で答えなかった。