11月20日朝8時57分、東京を中心にマグニチュード4.6、最大震度3の地震が発生した。震源地が地下100kmと深かったため甚大な被害は出なかったが、土曜休日で眠い目をこすった都民を驚かせたのは、震源地が東京・杉並区西荻窪の地底だったことだ。
都内にはまだ大地震の震源地になりうる場所が複数あり、東京23区内を震源とする直下型地震は、いつ発生してもおかしくない。その震源となる可能性があるのが、大都市の地下にひっそりと眠る「隠れ断層」だ。
「政府の地震調査研究推進本部によれば、日本全国で確認されている活断層は約2000にのぼります。しかし、実際にはまだ見つかっていない“推定(伏在)断層”がある。地震発生後にようやく、実は活断層があったとわかるケースも多いんです」
こう語るのは、長年にわたって推定断層を調査してきた元日本活断層学会副会長でジオ・とよくら技術士事務所代表の豊蔵勇氏である。
東京の地下深部には10万~30万年ほど前の「東京層」と呼ばれる地層があり、その上に約7万~8万年前の「砂礫層」、さらにその上を富士山などの火山噴火に由来する「関東ローム層」が覆っている。
「都心部の地盤は、二重に柔らかい布団をかけているような状態なので、その下にある断層が発見されにくいんです」(豊蔵氏)
加えて道路やビル、家屋などの建築物が地表をふさいでいるため、断層による「ずれ」をより見えにくくしているという。それでも豊蔵氏の長年の調査によって、東京都心直下の地震リスクが明らかになってきた。
「土木・建築工事などのボーリング調査のデータをもとに、また現地調査も行なった結果、地下の地盤にずれが存在すると考えられる場所がいくつも見つかりました。これが推定断層になります。
重要なのは年代が古い地層、つまり地下深くにある地層ほど、断層のずれが大きいと推定できたことです。例えば地層が2m動くとマグニチュード7.0程度の地震が起きます」
調査の結果、豊蔵氏が都心部にあると推察する推定断層は8つ。その場所を明示したのが別掲の地図である。