1999年から毎年寄付をする中国の“あしながおじさん”は誰?
中国の浙江省寧波市慈善協会に11月中旬、郵便書留で約105万元(約1900万円)もの振込み証明書が送られていたことが分かった。送り主の名前は「順其」という実在しない人もので、この人物は1999年から毎年、同慈善協会に105万元ずつ寄付をしており、これまで23年間の寄付金の総額は1363万元(約2億5000万円)にも達している。
中国中央テレビ局(CCTV)によると、この「あしながおじさん」は毎回寄付をするとき、「成り行きに任せる」という意味の四文字熟語「順其自然」の最初の2文字「順其」を振込み依頼人の欄に書いている。また、住所の欄には、「寧波市中山路1号」と存在しない住所が記されているという。
中国では1万元以上の振込をする場合、実名で署名する必要があるが、この「順其」氏は実名を明かしたくない事情があるようだ。このため、1回の振り込み額は9999元で105回振込み、残りの金額を50元と55元の2回に分けて、計107枚の振込み証明書が送られている。
同協会の職員は「1回だけならばともかく、23年間続けて送ってくるのは、この人物の几帳面で律儀な人柄がにじみ出ている。この『あしながおじさん』のおかげで、寧波では匿名で寄付をする人が増えており、他のあしながおじさんたちの寄付は合わせて5000万元(9億円)に達している。感謝しても、し足りない」と語っているという。
ネット上では「こういう慈善活動を通じて、愛を伝えることは、多くの人の心をほっこりとさせるだけでなく、安全な社会の構築にも役立っている」との声がある一方で、「こういう活動は自分の素性を明らかにして行うことで、寄付される方も感謝する気持ちが増すものだ。邪推されないように、いまからでも名乗り出た方が良いのではないか」との声も出ている。