先の衆院選で落選した自民党の石原伸晃・元幹事長が、岸田内閣の内閣官房参与に任命されたことが話題となった。12月6日には、石原氏が首相官邸を訪れて岸田文雄・首相と面会。記者団に辞令交付を受けたことを明かしたが、選挙で有権者からNOを突きつけられた前職が登用されたことには、岸田首相との“長年の盟友関係”が背景にあるとされ、「お友達優遇」の批判が巻き起こるのは必至だ。
石原氏は「観光立国などの分野」での参与に起用され、官邸で岸田首相と面会した後には「私はまだ、十分に体力も能力もあると思っているので、国のために役に立てるアドバイスをしていきたい」と記者団に語っている。たしかに石原氏は国土交通相や観光立国担当相を歴任してきたが、たとえば感染症対策の内閣官房参与である岡部信彦氏が国立感染症研究所感染症情報センターでセンター長などを務めた経歴から比べると、アドバイスができるような“専門性”は感じられない。
「岸田首相と石原氏は、長く盟友関係にあるのです」と解説するのは政治ジャーナリストだ。
「2000年11月に当時の森喜朗内閣の支持率が急落した際、宏池会会長だった加藤紘一氏が野党の内閣不信任案に同調しようとする『加藤の乱』が起きました。この時、宏池会の若手だった岸田氏、石原氏、塩崎恭久氏(元官房長官、先の総選挙で引退)、根本匠氏(元厚労相)の4人は、本会議出席前に不信任案に賛成票を投じるうえでの覚悟を決める“出陣式”を行なう力の入れようだった。加藤の乱は尻すぼみに終わったが、この出陣式の時にカクテルのドライマティーニを一緒に飲んだことから、4人はその後も不信任案が採決された11月20日近辺になると、“ドライマティーニの会”を開いて絆を深めてきた」(同前)