新型コロナウイルスの新規感染者が減少する一方で、新たな心配材料となっているのが変異株「オミクロン株」だ。気になるのはその重症化リスクだろう。フランスのAFP通信の報道(11月29日付)によると、オミクロン株の感染が疑われる患者約30人を診断した南アフリカ医師会会長は、患者のほとんどが軽症で、入院することなく回復したと述べている。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はこう答える。
「米ブルームバーグの報道(12月1日付)でも、欧州11か国で確認されたオミクロン株の感染例44件の症例では、すべて無症状か軽症と報告されていました。数が少ないのでまだはっきりとしたことは言えませんが、現状では重症化のリスクは低いと考えられます」
ナビタスクリニック理事長の久住英二医師もこう言う。
「重症化リスクが高い変異株なら、ここまで蔓延する前にもっと早く気づいたはずです。気づかない内に拡大していたということは、重症化リスクが低い変異株ではないかと考えます」
一般的にウイルスは感染力が強くなるほど弱毒化すると言われている。重症化リスクにはワクチン効果も期待できる。医療問題に詳しいジャーナリストの村上和巳氏はいう。
「ワクチンには感染予防、発症予防、重症化予防の3つの効果があり、重症化予防は通常、時間が経っても効果が残るため、感染や発症を抑えられなくても重症化を防げるとは思います」
ただし、ウイルスに詳しい長崎大学大学院の森内浩幸教授は気になる点もあるという。
「南アフリカの感染例はほとんどが40歳以下の若い人です。欧州の感染例も大半が2回のワクチン接種が終わっている人たちの感染で、どちらももともと重症化リスクが低い。高齢者や未接種者が感染した場合にどうなるかはまだわかっておらず、油断はできません」