女子ゴルフの稲見萌寧(22)と古江彩佳(21)が最後までハイレベルな賞金女王争いを繰り広げた国内最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。9位に入った稲見が総額2億5519万円を獲得、古江に845万円差をつけて女王に輝いたが、大会を制したのはツアー未勝利の“ダークホース”三ヶ島かな(25)だった。
プロ6年目にして涙の初優勝を飾った三ヶ島の姿を、18番ホールのグリーン横で嬉しそうに見守る男性がいた。
「本人には内緒で地元・福岡から応援に来ていた三ヶ島の父親・直さんです。直さんはプロデビュー時からキャディとしてバッグを担いでともに転戦してきたので、ツアー関係者の間では有名人です」(ゴルフ担当記者)
三ヶ島にとって父親はキャディであり、長年の「コーチ」でもある。
「10歳でゴルフを始め、父親と二人三脚で実績を積み上げてきた。親子鷹にありがちな“熱血指導”ではなく、ミスを叱らず、『どうすればミスを防げるか』を考えさせる方針だったそうです」
順調に才能を伸ばし、ゴルフの名門・沖学園(福岡)に入学。「九州ナンバーワンアマ」として知られ、2016年からプロの道へ。
「直さんはキャディとして三ヶ島と全国を転戦し、2018年にはシード権を獲得するまでになりましたが、娘のさらなる成長のために最近はキャディの回数を減らした。2019年オフからは渋野日向子のコーチだった青木翔氏と契約したが、いまも親子の関係は良好で心の支えになっているようです」
三ヶ島と同様に稲見と古江、笹生優花(20)など女子プロの多くは父親と二人三脚で道を切り開いてきた。その“先駆け”である横峯さくらの父・横峯良郎氏が語る。
「母親が勉強を教えるのと同じで、ゴルフは一番近い父親が面倒を見ることで素直に受け入れていくんです。ずっと見ているからちょっとした変化にも気付ける。成長していくと強豪校に行ったり、コーチについたりしますよね。よくコーチが『俺が育てた』というような顔をするけど、私は親が基礎を作ったケースが100%だと思うね」
親子鷹の活躍は今後も続きそうだ。
※週刊ポスト2021年12月17日号