稲垣吾郎主演のミュージカル・コメディ『恋のすべて』が2022年2月に上演されることが発表された。放送作家でコラムニストの山田美保子さんがこれまでの稲垣の舞台を振り返りながら、今回の新作が「必見」である理由を解説する。
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12月8日、48歳の誕生日を迎えた稲垣吾郎が主演するミュージカル・コメディ『恋のすべて』が同日、情報解禁された。
「その探偵、歌って、踊って、恋をする。」というコピーを見れば、私も含め、稲垣ファンなら『恋と音楽』シリーズを思い浮かべるに違いない。
もちろん、長年タッグを組んできた鈴木聡氏のことや、SMAP時代から「エンゼルボイス」と言われてきた稲垣がセッションする生バンド。さらには北村岳子をはじめとするミュージカル女優らとの絡みも甦ることだろう。
「鈴木聡さん作・演出作品に出演させていただいてから15年。毎回とても素敵な役でしたが、『依頼内容は恋に落とすこと』、こんな素敵な任務を果たす探偵役は初めてです」とは稲垣のコメントだ。
鈴木氏は「大人の渋さを身につけた吾郎さんに、世間の裏表を知る中年探偵を演じて貰おうと思います」「ワンナイトで、恋のときめきとせつなさをたっぷり描きたいと思います」とコメント。
読んだだけでワクワクしてくる。鈴木聡氏と稲垣のタッグは、2003年の『謎の下宿人~サンセット・アパート~』からスタート。以降、『魔法の万年筆』(2007年)、『ぼっちゃま』(2011年)。そして2012年から始まる『恋と音楽』シリーズへと続く。『恋と音楽Ⅱ~僕と彼女はマネージャー~』(2014年)、『恋と音楽FINAL~時間劇場の奇跡~』(2016年)、『FREE TIME,SHOW TIME「君の輝く夜に』(2018年)、『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』(2019年)である。
それらは鈴木氏による「当て書き」と言われ続け、取材の度に稲垣は、「あれが全部、僕の日常というワケではないけれど…」「鈴木さんが思い描いてくださる僕ということかな」などと少し照れながら語っていたものだ。
吾郎ちゃんを覗き見している感覚に
が、ファンは、設定やセット、ファッション、共演女優らとのやりとりの全てが“吾郎ちゃん”を覗き見しているような感覚に陥ったものである。今回の“探偵ファッション”や、「ニック・テイラー」なる役名、花乃まりあ、石田ニコル、そして北村岳子ら女優陣との洒落た会話劇にも稲垣はマッチしているに違いない。
稲垣の舞台というと、近年は、白井晃氏の演出や中島かずき氏の脚本、熊谷信也氏のプロデュースという“チーム”も彼を支えている。『No.9‐不滅の旋律‐』『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』でのファンの想像を遙かに超えた演技に高い評価が集まっているのだ。