「早期発見のために動くことが大事」。そう生前に発信していたのが、21才で大腸がんステージIVを宣告された遠藤和(のどか)さん(享年24)だ。彼女が娘のために遺した日記をまとめた書籍『ママがもうこの世界にいなくても』が12月1日に上梓された。
和さんは18才頃から、たびたび激しい腹痛に襲われていた。
《いつも、みぞおちの左側のところ。前ぶれなく、いきなりガツンと強い痛み。時間が経つと、徐々に治まっていく。》(同書からの引用)
しかし、病院での診断結果は、はっきりしたものではなく、和さんがステージIVの大腸がんだと診断されたのは、21才のときだった。最初に違和感を覚えたときから3年が経っていた。
最新の国立がん研究センターのデータによると、女性の大腸がんの年間罹患数は、乳がんに続く第2位で、6万5840人。死亡数では1位で、2万4004人だった。また、同センターの最新予測によれば、2021年に大腸がんで命を落とす人は2.5万人を超えるとされ、第2位の肺がんとは3000人以上も差がある。
そんな大腸がんを少しでも遠ざけるためにできることはあるのだろうか。聖マリアンナ医科大学臨床腫瘍学講座教授の砂川優さんはこう話す。
「便潜血検査やCTでは、確定的な診断ができないことが多い。少しでも疑わしいと思ったら、必ず内視鏡検査を受けてください。大腸がんは、内視鏡検査で採取した組織を生体検査に回して診断を確定するので、やるしかない。
大量の下剤をのむ必要があり、肛門からカメラを入れるので忌避する女性もたしかに多いですが、最近は検査機械のスコープも改良が進み、麻酔で寝ている間に行えるようになったので、苦痛に耐えながらやる検査ではなくなりました」
福岡大学医学部消化器外科教授の長谷川傑さんも続ける。
「アメリカでは検診として大腸内視鏡検査が推奨されています。その結果、近年は大腸がんの発見率が高まり、死亡率も下がりました。しかし、日本ではまだ死亡率が高止まりしたままです」
内視鏡で発見したがんが初期であれば、その場で切除することも可能だ。
「初期の自覚症状としてわかりやすいのは、前はそうでもなかったのに便秘や下痢をするようになるなどの排便習慣の変化です。残便感や、便が出きらないなどもあります。さらに、明らかに便が出にくくなる、腹痛を伴うなどの症状が出てくると、がんは進行しているケースが多い。その前に検査で見つけることが重要です」(砂川さん)