コロナ禍で訪日外国人の需要が蒸発した化粧品業界。一方、オンライン会議の普及で新たな身だしなみニーズが生まれ、若年男性の間でコスメブームも続いている。そんな中、男性化粧品メーカーの老舗、マンダムでは、どんな一手で市場を深耕していくのか──。今年4月にトップに就任した西村健社長(39)に話を聞いた。
――外出自粛が続いて化粧品需要が落ちた一方、テレワークの普及でオンライン会議が増え、新たな身だしなみ需要も出てきました。
西村:コロナ禍前は、ほとんどの男性は鏡越しに自分の髪や顔を大雑把に見る程度だったと思います。ところが、オンライン会議が普及したことで、パソコンやスマホの画面越しに映る顔のシワやシミ、ニキビなどが気になってケアする人が増え、新たなスキンケアマーケットが出てきました。女性向けもヘアケアやトリートメント関連の商品が伸びています。
もう1つ、男性向けの除毛クリームやボディヘアトリマーも成長していますね。昨年と一昨年を比較すると、除毛商品の売上げは1.7倍ほどになりました。
当社では2000年から除毛関連商品を細く長くやっています。流行の最先端をいくような男性は以前から除毛クリームを使っていらっしゃるので、このジャンルはコロナ禍とは関係なく伸びています。メンズサロンに行く方も増え、総じて清潔感への意識が高い若年男性が増えています。
――男性のヘアスタイリングやスキンケアなどへの意識は、この10年、20年単位で見ると、やはりずいぶん変わりましたか?
西村:私はいま39歳ですが、自分が学生の頃は、時代としてスタイリングの使用率は高く、鏡の前で試行錯誤したりしていました。しかしスキンケアは浸透していなく、せいぜい洗顔料を使う程度でした。逆にいまの若い男性は、スキンケア意識は高まっている一方で、スタイリングに関してはカット技術の向上やナチュラル志向もあり、昔ほど使うことにワクワク感やデビュー感ってそんなにないと思うんです。