マイナビが新卒向けサービスの登録者に誤送信したメールが物議を醸している。メールのタイトルに記載された「〈第1〉大東亜以下(9)」という文言は、大東文化大学、東海大学、亜細亜大学といった大学群を指していると思われ、「それら“以下”の偏差値の大学をまとめているのではないか」と波紋が広がった。
マイナビは「大東亜以下」という区分は、あくまで学生の人数をちょうど半分ほどに分けるためのものだと説明し、就活生を大学名で振り分ける“学歴フィルター”の存在については否定している。
しかし、ずばり『学歴フィルター』(小学館新書)の著書がある就職コンサルタント・福島直樹氏は、「新卒採用の現場に、学歴フィルターは歴然と存在します」と語る。
「あまり露骨なことをすると、ネット社会においては即バレて大炎上してしまう。そのため変な言い方になってしまいますが、学歴フィルターの在り方はどんどん洗練されてきています。
たとえば、会社説明会の参加枠です。偏差値の低い大学にも募集は一応かけるものの、上位校と比べて枠を減らすのが典型的なやり方です。東大の学生、一橋の学生、早慶上智の学生……と、偏差値の上から順に告知して、偏差値の低い大学の学生に伝わる頃には、すでにほぼ満員というパターンもあります。
エントリーシートによる書類選考と、SPIテストなどの筆記試験を一緒に行うパターンも増えています。これなら偏差値の高い学生ばかりが選考を通過しても、『エントリーシートの大学名だけで弾いた』という見え方にはなりませんよね」(福島氏、以下同)
就職コンサルタントとして20年以上にわたって学生を指導してきた経験から、福島氏は「偏差値の高い大学ほど、優秀な学生の出現率が高くなる現実はある」とは認める。だとすれば、学歴フィルターの問題とは何か?
「多額の教育費を支払うことができる裕福な家庭ほど、子どもが高学歴化する傾向があります。そんな子どもたちが、学歴フィルターによって就活市場でも優遇され、大手企業に就職するのです。企業単体で考えると、学歴フィルターを使うことに一定の合理性はあります。しかし、社会全体で考えたとき、学歴フィルターは格差社会を加速させるものです」