来年2月に開幕する北京冬季五輪について、新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権問題などを理由に、米国などが政府当局者を参加させない「外交的ボイコット」を打ち出している。岸田文雄・首相は12月13日の衆院予算委員会で日本政府の対応について、諸般の事情を総合的に勘案して「適切なタイミングを選んで明らかにしたい」と述べるにとどめたが、そうした中国共産党政府への姿勢について、厳しく批判の声をあげたのが、日本共産党の志位和夫・委員長だ。
志位氏は13日、同党の公式HPで日本政府に対して外交的ボイコットを求める声明を発表。〈中国に人権抑圧の是正と五輪憲章の遵守を求めよ──五輪開会・閉会式への政府代表の不参加は当然〉と題した声明では、新疆ウイグル自治区での少数民族への抑圧や強制収容などの人権侵害、中国共産党幹部からの性暴力を告発した女子テニス選手が消息不明となった問題などについて厳しく批判している。
そのうえで、〈国際的な人権保障の取り決め、およびオリンピック憲章に反する事態が続いているもとで、大会の開会・閉会式に政府代表を派遣することは、中国での人権抑圧の黙認となりかねない。日本政府は、当然、政府代表を送るべきではない〉と岸田政権に外交的ボイコットを求めたのだ。政権の座にある保守政党である自民党の対中外交の姿勢が軟弱であることを、野党で革新政党の共産党が叱るという興味深い構図となっている。政治ジャーナリストが解説する。
「中国共産党と日本共産党の関係は、一言では説明できない複雑なものです。ルーツは同じと言えるが、1960年代に中国で文化大革命が進められると、日本共産党はそれを厳しく批判し、30年以上にわたって両党の関係は断絶した過去がある。その後、1998年からは関係が正常化して交流が再開しますが、無条件にお互いのことを認めるという関係ではありません」
2019年に日本共産党が綱領を改定した際も、中国などを念頭に〈いくつかの大国で強まる大国主義・覇権主義は世界の平和と進歩への逆流〉と批判する文言が盛り込まれた。意外なことに、対中国というポイントで自民党以上に強硬な姿勢を取ってきたのが、日本共産党なのだ。