男性7人組の韓国の人気グループ・BTSを巡る「兵役問題」が、同国の世論を揺るがせている。11月にはアジア勢初となる「アメリカン・ミュージック・アワード」の最高賞を受賞するなど、国家への貢献度の高さから「兵役免除」も検討されているという。韓国在住の芸能ライター、キム・サンジュン氏が語る。
「“韓国男性の義務を果たすべき”という声と“兵役免除するべき”という意見で世論は割れています。ただし、兵役免除の対象は“オリンピックでメダルを取った選手”などに限られており、現状では大衆文化には適用されていません」
それを受け、11月に韓国国会では大衆文化芸術の貢献者にまで、兵役免除の対象を拡大するか審議をしたが、保留となった。このままだと最年長メンバーのジン(29)が来年末までに入隊し、18~22か月間服務することになるが、ファンからは「いじめや暴力に遭うのでは」といった心配の声も上がっている。
芸能人は韓国軍でどういう職務に就くのか。
「軍隊のいじめや暴力は昔より減っているとはいえ、完全になくなったわけではありません。ただし芸能人は優遇され、通常の訓練はほとんど受けずに軍が対外的なPRのために行なうミュージカルへの出演やその練習などが主な職務になります。そのため彼らは『ミュージカル兵士』と呼ばれるのですが、通常は陸軍で18か月間の訓練期間が3か月ほどに短縮されるなど、相当楽だと言われます」(キム氏)
2019年には数組の人気K-POPグループのメンバーが軍のミュージカル『帰還 あの日の約束』に出演したが、頭を丸刈りにするでもなく、アイドル時代と変わらない姿を見せ話題となった。
「上官にタメ口だったり、休暇期間が一般人より長いといった芸能人への優遇が問題になり、同世代の男性からの反感も少なくありません。一方、ドラマ『愛の不時着』の主演俳優ヒョンビンが自ら志願して海兵隊でハードな訓練に耐え、『愛国心に溢れた男だ』と、その後の芸能生活にプラスになったケースもあります」(キム氏)
どちらにせよ、芸の肥やしになるようだ。
※週刊ポスト2021年12月24日号