日本に先行して諸外国ではワクチン3回目接種が加速している。気になることのひとつが「副反応」がどうなるかだ。そもそもなぜ3回目接種が必要なのか。感染症学が専門で昭和大学医学部客員教授の二木芳人医師が解説する。
「ワクチン接種が進んだはずのイスラエルでも夏にはデルタ株が蔓延し、ブースター接種が急がれました。現在、世界で流行中のオミクロン株はウイルスの真の脅威はまだ不明で、免疫を回避する力があるとも言われている。それでも唯一の武器であるワクチンを積極的に使うしかありません」
ただし、注意が必要な人もいる。ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が言う。
「基礎疾患や属性に関係なく基本的には誰しもが3回目の接種をするべきだと考えます。ただ心筋炎を起こしたことのある人や、1~2回目でアナフィラキシーを起こすなどワクチンでひどい症状を経験した人は慎重な判断が求められます」
3回目接種については「いつ打つか」ばかりで、「打ったらどうなるか」「副反応はどうか」などの情報は乏しい。その際に参考になるのが、先行して3回目接種が進む諸外国の実態だ。厚生労働省によると今年7月にイスラエルで、8月以降は米国や英国などで3回目接種が始まった。
「イスラエルで60歳以上の人々にファイザー製ワクチンの3回目投与を行なったところ、迅速かつ広範な免疫反応が認められました。3回目投与後、ウイルスの毒性を無効化する中和抗体レベルは、2回目投与後の9.34倍だったと発表されています」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)
痛みは強いが、副反応は弱い?
一方で、注視すべき調査結果も報告されている。CDC(米国疾病予防管理センター)の調査によると、アメリカでは9月19日までに約221万人が3回目接種を受け、次のような結果が得られたという。
「CDCがワクチンの安全監視システムに登録している2万2191人の副反応を調べたところ、『注射部位の痛み』71.0%、『倦怠感』56.0%、『頭痛』43.4%の順で報告されました。
ファイザーの臨床試験では2回目と3回目の副反応はほぼ同じでしたが、実際の3回目接種では痛みなど『局所反応』報告が2回目より増え、倦怠感や頭痛などの『全身反応』報告は逆に減っていました。3回とも同じワクチンなら、注射部位の局所的な痛み以外の副反応は少なくなる可能性があります」(室井氏)