この国がまだ若々しかった時代から、芸と技で私たちを元気づけてくれた。今なお輝きを放ち続ける男たちを、けっして忘れることはない。2021年にこの世を去った、芸能界やスポーツ界で活躍した人々を振り返る。
●栃ノ海晃嘉さん 横綱 1月29日死去 享年82
177センチ、110キロの小兵力士ながらも大鵬、柏戸に次ぐ第49代横綱に。昭和39年の夏場所では、千秋楽に大鵬を下手投げで破って3回目の優勝。“魅せる力士”で技能賞を6回獲得した。
●古賀稔彦さん 柔道家 3月24日死去 享年53
“平成の三四郎”の異名を取った。1992年のバルセロナ五輪では、大会直前に吉田秀彦との練習中に左ヒザを負傷。出場を危ぶまれたが、71キロ級で金メダル獲得。日本中の涙を誘った。
●田中邦衛さん 俳優 3月24日死去 享年88
映画『若大将』シリーズで加山雄三のライバル・青大将を演じて脚光を浴び、ドラマ『北の国から』(フジテレビ系)では寡黙で不器用な黒板五郎役が評判を呼んだ。紫綬褒章、旭日小綬章受章。
「邦さんは日本の父親像の典型でしょう。そもそも、とても家族を大切にしていた人なんです。どこか懐かしみのある、人懐っこいところは『北の国から』の黒板五郎そのもの。4年ほど前にお宅に遊びに行った時、中原中也の詩を2編ほど読んでくれたんです。『頭の体操に、読んでいるんだ』とのことでしたが、その様子は、まさに五郎さんでした」演出家・杉田成道氏)