韓国の文在寅大統領は12月13日、中国の人権問題を理由とした北京冬季五輪への「外交的ボイコット」について、「韓国政府は検討していない」と表明した。アメリカが政府代表団を派遣しないことを決定したことに追随する形で、オーストラリア、イギリス、カナダが次々と外交的ボイコットを表明。日本も閣僚の派遣を見送る方針であることが伝えられる中、韓国はアメリカの同盟国でありながら、他国とは一線を画し中国に協力する道を選んだことになる。
文氏は外交的ボイコットをしない理由について「米国をはじめとするどの国からも、(ボイコットに)参加を求められたことはない」と述べた上で、「経済的な側面では中国との関係もとても重要だ」と語った。発言の真意について、韓国人ジャーナリストが分析する。
「文政権の支持率は新型コロナの感染拡大や景気の悪化で30%台と低迷を続けており、来年3月の大統領選を前に早くも“レームダック(死に体)状態”となっています。しかし、歴代の韓国大統領が退任後にスキャンダルに見舞われる悲惨の歴史を辿ってきたことを考えると、文氏としては強い後ろ盾を得た上で任期を終えたい。
そこで頼ったのが中国です。韓国最大の貿易相手国である中国は、2016年に米軍の最新鋭迎撃システム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』の韓国配備に絡み、韓国の製品や娯楽作品などを中国市場から排除する事実上の経済制裁を科してきましたが、自らの任期中にこれを解きたいという気持ちが文氏にはあった。北京五輪の外交的ボイコットについて、あえて“検討すらしない”と表明したのは、経済制裁を解いて欲しいという中国への猛烈なアピールでしょう」