人々に勇気や笑顔、そして、幸せを届けた著名人の訃報が相次いだ2021年。彼らは、どんな言葉を残したのか。在りし日をよく知る人に、思い出に残る秘話を語ってもらった。
人々の悩みや苦しみに寄り添い、救いのある言葉の数々を発信し続けた故・瀬戸内寂聴さん(享年99)。社会からバッシングを受けた人たちにも、温かい手を差し伸べた。立憲民主党前副代表で先日の衆院選挙で落選した辻元清美さん(61才)も、瀬戸内さんに救われた1人だ。
「2002年に秘書給与詐取問題で議員辞職した直後、マスコミに追い回されている私に、『あなた行くとこないでしょ、寂庵に来なさい。あなたを守ってあげるから』と、電話をくださいました。寂聴先生とは以前から面識はありましたが、まさかそんなふうに声をかけてくださるなんて思ってもいませんでした。
先生は会うなり、『あなたボーイフレンドいる?』と聞かれて、『いません』と答えると、『あなたのために働いてくれるボーイフレンドを3人見つけなさい』とおっしゃいました。その言いつけ、まだ、実現できていないのですが(笑い)」(辻元さん・以下同)
そこから1か月、瀬戸内さんの自宅に住み込み、寝食をともにした。
「『どんなことがあっても、命までは取られないわよ』という言葉に、何度も救われました。
2002年、議員職を失った私は、今後のために介護ヘルパーの資格を取ろうとすると、『あなた、それはいいことよ。このお金ですぐにヘルパーの学校に行きなさい』と、10万円を手渡してくださったこともあります。そのお陰で資格を取ることもできたんです。
先生は、まさに私の命の恩人。先生との時間がなければ、私はどうなっていたかわかりません。先生からは、『あなたがいない国会は面白くないから、早く戻りなさい。あなたの生きる道は政治の世界しかないのよ!』と言われていましたから、その言葉を支えに、また頑張ろうと思っています」
【プロフィール】
辻元清美/前衆議院議員。1996年衆議院選挙にて初当選。2017年女性初の国対委員長(野党第一党)などを歴任し、衆議院議員を7期務めた。
※女性セブン2022年1月6・13日号