外出自粛を余儀なくされた2021年は、本を手に取る機会も多かったはず。社会で活躍するかたがたはどんな本を読んだのでしょうか? 「私が選ぶ2021年の3冊」を聞いてみました。
●河野太郎さん(衆議院議員)/2021年は新型コロナウイルスのワクチン接種の推進に尽力
『捏造された聖書』/バート・D・アーマン 訳・松田和也/柏書房
キリスト教の聖典である新約聖書は、最初に書かれたものから、時代の移り変わりや教義の変遷と共に書き換えられてきたのだということを、具体的な例を挙げながら、わかりやすく解説してくれます。推理小説のような面白さを味わうことができます。
『アンゲラ・メルケル 東ドイツの物理学者がヨーロッパの母になるまで』/マリオン・ヴァン・ランテルゲム 清水珠代・訳/東京書籍
『The Fountainhead』/Ayn Rand/Signet
●斎藤幸平さん (経済思想家)/『人新世の「資本論」』が40万部を突破!
『サステイナブルに暮らしたい 地球とつながる自由な生き方』/服部雄一郎・服部麻子/アノニマ・スタジオ
服部さん夫妻は、エコな生活をする際の師匠みたいな存在。けれども、これまでの本は修業みたいにレベルが高い(笑い)。その点、この本は服部さんたちの実際の暮らしに落とし込まれていて、自分の生活を見直すヒントに溢れている。
『監視資本主義 ─人類の未来を賭けた闘い』/ショシャナ・ズボフ 野中香方子・訳/東洋経済新報社『世界を動かす変革の力 ブラック・ライブズ・マター 共同代表からのメッセージ』/アリシア・ガーザ 人権学習コレクティブ・監訳/明石書店
●内藤佐和子さん(徳島市長)/史上最年少の女性市長(当時36才)として注目
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』/鈴木忠平/文藝春秋
選手と監督がもたれあわない自立したチームで勝利を貪欲に求めていくこととファンの心を掴むことは必ずしも一致しない。選手やファンを引っ張るのは熱や情か、それとも揺るがない技術か。チームを動かす事例としても、読み物としても面白い良書。
『まちづくり幻想 地域再生はなぜこれほど失敗するのか』/木下斉/SB新書
『マイノリティデザイン 「弱さ」を生かせる社会をつくろう』/澤田智洋/ライツ社
●山本健人さん(医師)/人体の仕組みをわかりやすく書いた『すばらしい人体』が大ヒット
『関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか』/伊原薫/交通新聞社新書
鉄道には明るくない私でも、あまりに面白くて夢中で読んだ。自らを阪急のファンと語る著者が、「阪急電鉄」というただ一つのテーマをマニアックに掘り下げていく。自分の大好きなものを、これほど上手に、楽しく分かりやすく語れる才能に憧れる。
『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』/鈴木宏昭/ブルーバックス
『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』/庭田杏珠、渡邉英徳/光文社新書
※女性セブン2022年1月6・13日号