現在公開中の岡田将生(32才)が主演を務める映画『聖地X』。「ホラー映画」と謳われているものの、SNSなどの口コミでは「不気味だけど笑える」「クセになる面白さ」といった声が多く、コメディ要素も散りばめられた作品に仕上がっている。そんななか、強烈なインパクトで注目を集めているのが、薬丸裕英(55才)と石川秀美(55才)を両親に持つ薬丸翔(31才)だ。薬丸の名演について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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本作は、劇作家で演出家の前川知大(47才)率いる劇団・イキウメの代表作の1つを実写映画化したもの。映画『SR サイタマノラッパー』シリーズや『AI崩壊』、『シュシュシュの娘』などを手掛けた入江悠(42才)が監督を務め、韓国のとある呪われた土地を舞台に、次々と巻き起こる奇怪な物語をホラーテイストで描き出している。
物語のあらすじはこうだ。父親が遺した別荘のある韓国に渡り、悠々自適な生活を満喫していた小説家志望の輝夫(岡田将生)の元へ、東京での結婚生活に嫌気がさした妹の要が転がり込んできて、共同生活が始まる。そんなある日、要は日本に残してきた夫・滋の姿を韓国の商店街で見かける。後を追っていくと、辿り着いたのは不気味な佇まいの飲食店。すると、誰もいないはずの店奥から記憶があやふやな滋が姿を現すのだった。
演劇版の舞台は日本だったが、映画版では韓国へと設定を移し、個性的な俳優陣が演技合戦を繰り広げることで、素晴らしい仕上がりとなっている。岡田将生は“親の遺産で暮らす小説家志望の青年”というアクの強い人物に扮し、観客のナビゲーター的な役割も担当。気ままな生活を妹の要に侵され、やがて怪異に巻き込まれていく狼狽ぶりは見事だ。要役を演じた川口春奈(26才)も、物語の“きっかけ作り”という重要な役どころを担っていた。甲斐性なしの夫からひどい仕打ちを受け、怒り心頭で韓国へとやって来た要の怒りの強さが、物語の恐怖の一端である“どこかおかしな滋”の出現を促す。そして、物語のキーパーソンである要の夫・滋役を演じているのが、薬丸翔だ。