12月26日に開催された全国高校駅伝では、世羅(広島)が2年連続11度目の優勝を果たした。この通称“都大路”の高校駅伝は、大学進学後の「箱根路のスター候補」の宝庫だ。今回も将来が楽しみな選手が多く見られた。そうした都大路のスターが、大学で結果を残せるかに着目するのも、箱根駅伝の楽しみ方のひとつと言えるだろう。
都大路では、最長区間となる1区に各校のエース級が揃い、最後の長い直線での壮絶なラストスパート争いが最大の見どころのひとつとなる。2019年の同大会でその1区で区間賞を獲得し、日本人歴代最高記録を出したのが八千代松陰の佐藤一世だ。
佐藤は青学大に進学して2年生となり、今回の箱根では優勝候補となるチームの主力に成長した。12月29日に発表された区間エントリーでは補欠登録となったが、当日変更でどの区間に配されるのかが注目される。2019年の都大路1区で佐藤と最後の最後まで競い合い、2秒差で区間2位となった学法石川の松山和希は東洋大に進み、今回の箱根ではエース区間の2区に配置されている。
一方で、「本当に将来が楽しみなのは、都大路1区を走った選手より、3区で快走を見せた選手」(スポーツ紙デスク)という声もある。都大路の最長区間は1区(10km)だが、2008年以降は留学生ランナーを起用することが禁止となった。そのため、次に長い3区(8.1075km)に留学生ランナーが集中する。「その3区で留学生たちと渡り合った選手こそ、箱根やその先の将来が期待できる」(同前)というわけだ。
今回の都大路では、5000mの高校記録を持つ洛南(京都)の佐藤圭汰が3区に起用された。世羅のコスマス・ムワンギ、倉敷(岡山)のイマヌエル・キプチルチルら留学生ランナーと互角の走りを見せ、23分10秒で区間4位となった。この記録は、3区での従来の日本人最高記録を18秒も塗り替えた。
「やはり、都大路3区でしっかりと走ってくれるランナーの将来には期待してしまう。2008年に、仙台育英のポール・クイラを相手に食らいついたのが佐久長聖の村澤明伸で、当時の3区の日本人歴代最高記録(23分38秒)を出した。その後、村澤は東海大に進学後、箱根駅伝の“花の2区”で17人をごぼう抜きする走りで区間賞を獲得するなど、箱根路のスターにもなっている。今回の都大路3区で快走した洛南・佐藤は、駒沢大に進学予定。どこまで才能が開花するか、楽しみだ」(同前)