北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹である金与正党副部長が、朝鮮人民軍の兵站などの総後勤部門を総括する人民軍最高司令部後方支援総司令官に任命されていたことが明らかになった。すでに、与正氏は朝鮮半島の南北問題と外交問題全般の責任者に就いているのに加え、近く開催の党中央委員会で党内序列が上がり、党中枢の党政治局員に昇進する可能性が強まっている。
今後は党と軍、外交という極めて重要な部門を任されることで、実質的な金正恩氏の後継者としての地位に就くとの観測も出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は20121年12月18日、金正恩・与正きょうだいの父、金正日総書記の死去から10年となったことを受け、前日の17日に開かれた中央追悼大会出席の幹部として8人の党政治局委員に続いて与正氏の名前を挙げた。
与正氏が政治局候補委員よりも先に紹介されたため、政治局の委員または候補委員に選出されたとの見方が強まっている。
与正氏は昨年まで組織指導部第1副部長兼政治局候補委員だったが、2021年1月の党大会で宣伝扇動部副部長、中央委員会委員に降格。しかし、最高指導者の妹として対韓・対米などの外交業務全般を取りまとめながら対外メッセージを発信し、影響力を誇示してきた。
これを裏付けるように、与正氏は今年9月の最高人民会議(国会に相当)で8人の国務委員の1人に選出されている。
韓国の情報機関、国家情報院は、与正氏の2021年の公開活動の回数が34回と2020年の17回に比べ急増し、外交業務を担当しながら非公開で地方を訪れ、住民生活の動向を把握し、正恩氏に報告していることを明らかにした。
このようななか、RFAはこのほど、金正恩総書記が2021年10月中旬、与正氏を人民軍最高司令部後方支援総司令官に任命していたと報じた。