古典落語『富士詣り』にもあるように、古来、日本人にとって富士山は信仰の対象だった。一生に一度でいい、富士山に登り煩悩を清めたいと誰もが願った。日本人の心に宿る霊峰・富士が元旦に見せた神々しい威容に、新年のご多幸を祈る。それぞれに異なる富士山の顔をお届けする。
●赤く染まった“紅富士”に息をのむ
(2020年撮影 山梨・富士吉田市 オイ)
気温氷点下のなか、日の出の瞬間に赤く染まる“紅富士”をとらえる。「画面いっぱいの富士を表現するために、望遠レンズを使用しました」(オイ)
●広大なススキの野原で眺める凛々しい富士
(2019年撮影 山梨・山中湖村 冨塚晴夫)
約30年間、正月の富士山を撮り続けている。「ススキの広がる広大な野原の一角で、山体の凛々しい角度を見つけて撮りました」(冨塚)
●北斎をイメージした波濤の富士
(2013年撮影 静岡・沼津市 太田裕史)
伊豆・井田海岸に押し寄せる荒波に葛飾北斎の『富嶽三十六景』をイメージ。「波しぶきから機材を守るのに苦労しました」(太田)