国立がん研究センターによると、2020年にがんと診断された人は前年より約6万人減少したという。病気になる人が減ったからではなく、新型コロナウイルスの影響で検診や受診を控える人が増えたためだと考えられており、今後は進行したがん患者が増えると危惧されている。こうした検診・受診控えについて常磐病院乳腺外科の尾崎章彦さんは不安を抱く。
「乳がんなど、がんの生存率向上には早期発見と早期治療が重要です。実際に、コロナ禍で検診を受診していなかった人や、乳房にしこりがあると自覚していたけれど、コロナが怖くて医療機関を受診せず、しこりが大きくなるまで放置していた人もいました。乳がんの場合、症状自覚後、数か月の受診の遅れにより死亡率が上昇する可能性があります」(尾崎さん・以下同)
こうした「受診控え」が特に顕著であるのが、小児科であると尾崎さんは続ける。
「親が『ただの風邪だろう』と判断し、いつもなら病院へ行くのに、コロナ禍だから受診を控えてしまう。病院へ行かなくても治ることが多いとはいえ、なかには髄膜炎を合併する子供もいます。命にかかわる病気なので、日常と違う症状があるときは、やはり受診すべきでしょう」
病院へ行きたくないのなら、自宅でできる検査キットを活用するという手もある。
「血液検査や便潜血検査など、技術的に難しくないものであれば検査キットもいいでしょう。ただし、CTや超音波検査、内視鏡検査などは病院においてのみ受けられることを理解しておいてほしい」