フランス南東に位置するアビニョン市は、中世の建物も残る、かつてはカトリックの聖地として栄えた街だ。クリスマスを控え、イルミネーションで飾られたこの街の郊外で、「バンッッ!!!」という耳をつんざく爆発音が響いたのは12月19日の夜10時頃のことだった。あまりの音に、何が起こったかと飛び出す近隣住民。目に飛び込んだのは、閑静な住宅街を走り抜ける無灯火のBMW。何人かが乗っているのはわかるものの、確認できたのは車のナンバーだけだった。
「すぐさま警察が身元の照会をしたところ、元F1ドライバーで資産家のジャン・アレジ(57才)の兄が経営する店名義の車と判明したのです。兄が逮捕されたのですが、事件の翌日、警察署に出向いたのは、アレジ本人。『自分がその車を使ってやった。兄は関係ない』と自らの行動だったことを自白したのです。まもなく兄は釈放され、代わりにアレジが起訴されました。イタリアで購入した爆竹を、妹の元パートナーの事務所に仕掛けたことを供述したのです」(現地ジャーナリスト)
言わずもがな、アレジは女優の後藤久美子(47才)と1996年に事実婚。結婚27年目のふたりの間には、長女でモデルや女優として活躍するエレナ(25才)、長男でレーサーのジュリアーノ(22才)、次男のジョン(14才)の3人の子供がいる、スーパーセレブ家族だ。今回の事件、驚くことにBMWの運転をしていたのは息子のジュリアーノだった。
「ジュリアーノも検事による取り調べを受けていますが、『アレジに(現場付近で)停車を求められたから従っただけで、何を計画していたかは知らなかった』と答え、ジュリアーノの所属事務所も『逮捕、裁判等の事実はありません』と公表しています。アレジ本人は、今回の件について『悪い冗談だった』と検事に説明しています」(前出・現地ジャーナリスト)
確かに、爆竹を使ってクリスマスのサプライズ……というのは遠く海の向こうであれば、ありそうな話。しかし、詳細を知る別のジャーナリストからすると、そう簡単な話ではなさそうだ。
「使われた爆竹は日本人が想像する『パンッ』という程度のものではなく、“爆発物”と思った方がよいものです。今回、アレジ氏はわざわざイタリアで購入した爆竹を使用していますが、フランスでは種類によって規制が厳しい。より激しいものを使おうという意図があったのかもしれません。被害状況についても、事務所の強化ガラスにヒビが入りフレームが破損する、笑えないレベルでしたからね。
地元検察も悪い冗談だとは思っていません。夜10時という時間帯、現場が妹と事実婚の末に別れた元パートナーの事務所ということ、そしてその場から無灯火運転で逃走していることから、ファミリー間のトラブルとみて調べを進めています。アレジ氏は2023年に裁判で裁かれる予定で、最長で10年の禁錮刑もしくは15万ユーロ(約2000万円)の罰金が科せられます」
過去には、パートナーとの関係について「長くいると飽きるだの、何の研究結果だか知らないけれど、そういうふうにみんな頭に植え付けられているんじゃないかしら?」と語ったこともあるゴクミ。しかし、風が吹かなくても移ろうといわれるのが人の心なら、爆風が吹き荒れれば、何かが変化するのかもしれない。
※女性セブン2022年1月20・27日号