2021年12月31日に放送された『NHK紅白歌合戦』は世帯視聴率34.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)と発表され、歴代最低だった。数字は事実だが、報道の仕方に釈然としない人も多いのではないか。
なぜなら、紅白の視聴率は“縦軸の比較”でばかり論じられるからだ。歴代最高81.4%の1963(昭和38)年と歴代最低34.3%の2021(令和3)年では58年も離れている。テレビ全体の総世帯視聴率が落ちているのだから数字も下がって当然であり、もはや民放が気にしていない“世帯視聴率”という基準で語られることにも引っ掛かりを覚えるだろう。時代は移り変わっており、趣味嗜好が多様化した上に、現在はスマートフォンやパソコンで同時視聴できる『NHKプラス』もある。
そこで“横軸の比較” を加えると、見方が変わる。過去10年の紅白2部の世帯視聴率と年間順位、紅白以外の30%以上番組の本数を並べてみよう。
■2012~2021年の紅白2部視聴率と紅白以外の30%以上番組
【2021年】34.3%(8位)/紅白以外の30%以上:14(東京五輪8、ニュース4、箱根駅伝2)
【2020年】40.3%(1位)/紅白以外の30%以上:1(半沢直樹1)
【2019年】37.3%(4位)/紅白以外の30%以上:16(ラグビーW杯3、ニュース10、テニス1、箱根駅伝2)
【2018年】41.5%(4位)/紅白以外の30%以上:8(サッカーW杯6、平昌五輪2)
【2017年】39.4%(1位)/ 紅白以外の30%以上:0
【2016年】40.2%(1位)/紅白以外の30%以上:1(SMAP×SMAP)
【2015年】39.2%(1位)/紅白以外の30%以上:0
【2014年】42.2%(3位)/紅白以外の30%以上:5(サッカーW杯4、24時間テレビ1)
【2013年】44.5%(1位)/紅白以外の30%以上:12(半沢直樹4、サッカーW杯予選1、野球WBC2、ニュース3、24時間テレビ1、フィギュアスケート1)
【2012年】42.5%(1位)/紅白以外の30%以上:5(サッカーW杯4、ロンドン五輪1)
※ビデオリサーチの「年間高世帯視聴率番組30」をもとに作成。