身体にちょっとした不調、そのわずかな異変があなたの命を左右するかもしれない。放置してはいけない身体の“SOSサイン”を解説していく。
俳優・歌手として活動するブラザートムさん(65)は、50歳だった2006年4月、心筋梗塞で緊急入院した。発症前、身体にはこんな“兆候”があったという。
「酒を飲んでもぜんっぜん酔わなくなって『変だなー』と思っていたら、急に肩がめちゃくちゃこり始めたんです。続けて歯、目、頭、顎とあちこちが痛み、鎮痛剤で誤魔化していました。
それから半年くらい経ったある日、朝まで飲んで家に帰ろうとした時、歩いていて突然動けなくなった。落とした袋を拾おうとしても、手がしびれてどうしようもない。しかも胸にまで鋭い痛みが出て、体がぎゅっと前に丸まって動けなくなっちゃったんです。5分くらい痛みとしびれで呆然として、立ち尽くしていました」
その翌日、受診した近所の病院から都内の大学病院に緊急搬送され、「心筋梗塞」の診断を受けた。2週間の入院、投薬治療で事なきを得たが、「もう二度とあんな思いはしたくない」という。
『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著者で、秋津医院院長の秋津壽男医師(総合内科専門医)が解説する。
「心筋梗塞により冠動脈が詰まると、身体に痛みが生じることがあります。胸の痛みではなく、特に左半身の痛みとして脳に伝わって、左の肩や顎などが急に痛むことがあるのです」
ブラザートムさんのように身体に現われた小さな不調が、「重病のサイン」だったというケースは少なくない。秋津医師はこう言う。
「私は22年ほどでのべ20万人以上の患者さんを診ていますが、一見それほどでもない症状でも、実は重病の予兆だったと感じることは多いです」
本誌は秋津医師監修のもと、身体のさまざまな部位に現われる“異変”で疑われる病気を、別掲の表に示した。