新しい年を祝う気持ちの一方で、難しい局面も多々予想される2022年。大人力を研究するコラムニスト・石原壮一郎氏が指南する。
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新しい一年がスタートしました。今年もいろんな出来事があることでしょう。何はともあれ、穏やかな気持ちで日々を過ごしたいところ。しかし、きっとまた例年のように、ニュースに一喜一憂したり周囲の言動にイラっとさせられたりするに違いありません。
先手必勝というか転ばぬ先の杖というか、昨今の情勢や2022年に待ち構えているビッグイベントなどを見据えつつ、予想される不愉快な場面を切り抜ける大人フレーズを頭の中に用意しておきましょう。きっちり繰り出せれば、被害を最小限で抑えられます。
とりあえず、2022年の上半期に遭遇しそうなうっとうしいシチュエーション5パターンと、それぞれの対処法を考えてみました。
その1〈オミクロン株が広がって、不安なのかとにかく何か言いたいのか、同僚が政府の対策を全否定して憤っている。持論も展開しているが、何の新鮮味も説得力もない〉
●繰り出したい大人フレーズ
「お前が厚生労働大臣になったら、1週間で感染を抑えられそうだね」
【解説】そんなわけはないが、相手が単純なタイプなら素直にいい気になってくれるだろう。暗に「そんなこと言うなら、お前がやってみろ」と言っているわけだが、相手がその真意を察する程度には勘がよかったとしても、黙ってくれるので結果オーライである。
その2〈北京2022冬季オリンピック・パラリンピックが始まって、家族が何の引っ掛かりもなく、あまりにも無邪気に日本選手の成績に一喜一憂している〉
●繰り出したい大人フレーズ
「邪念を抱いて純粋にスポーツを楽しめない俺は、修業が足りないんだろうな」
【解説】小うるさい批判をして喜んでるおっさんにはなりたくないが、無邪気に楽しむのもどうかと思う――。そんな場合は、自分に落ち度があるような言い方をしつつ、心の中で「バカじゃないの」と毒づくのがオススメ。高度な技を繰り出した満足感を味わえる。
その3〈重箱の隅をつつく風潮がますます強まり、ドラマの話題で「あの女優も、すっかり老けたね」と言ったら、女性の部下に「それ、問題発言ですよ」と注意された〉
●繰り出したい大人フレーズ
「しまった、不勉強だったね。指摘してくれてありがとう」
【解説】相手は「獲物」を見つけて食いついてきただけで、何がどう問題発言なのかは尋ねたところで説明できない。ここは素直に感謝することで、まんまと得意げになる様子を見てこっそり楽しみたい。底意地が悪いやり方だが、そのへんはお互い様である。