農業や漁業など、「食」を支える第一次産業に携わる人々が経営する宿が全国に増えている。都会の喧騒から離れ、身も心もリフレッシュ。現役漁師が経営する漁家民宿で、とれたての海の幸を堪能してみては?
漁体験が非日常へと誘う
豊かな海に恵まれた福井県小浜市宇久という小さな集落で代々漁師を営んできた浦谷喜久男さんは、昭和38年に漁師の傍ら、『うらたに旅館』を始めた。現在は、現役漁師で息子の俊晴さん、妻の咲栄さんの家族3人で切り盛りしている。京都の料亭『吉兆』や築地の日本料理店『つきぢ田村』の主人も密かに足を運んだ隠れ宿としても評判だ。
俊晴さんの定置網には寒ブリが3千本かかった年もあり、時にはマグロもとれるという。
「“若狭の魚は調味料いらず”というほど、魚自体に甘味があって、とにかく旨い。魚との出会いも一期一会。その日とれたいちばんいい魚を親父とさばいています」(俊晴さん)。手際よく締めるので生臭さがなく、ひと口食べると魚本来の甘味を感じて息を呑む。さらに、どのように魚がとれるのか、定置網漁にまで同行させてくれる太っ腹。まさに「食」について学べる大人の社会科見学だ。
●うらたに旅館
定置網の網元が経営する漁家民宿。今回の『ふぐかにセットコース』は1泊1名1万7400円(朝夕2食付き)。定置網漁の見学と体験は無料。
住所:住福井県小浜市宇久6-9