芸能

ステージIVのママの闘病記を読んだ眞鍋かをり「しあわせの基準は人それぞれ」

眞鍋かをり

遠藤和さんの闘病中の日記を読んで、「『しあわせ』とは何なのか考えさせられた」と話す眞鍋かをりさん

 21才で大腸がんステージIVの宣告を受け、22才で結婚、23才で娘を出産。2021年9月、闘病の末に24才で亡くなった遠藤和(のどか)さんが1才の娘のために綴った闘病中の日記をまとめた『ママがもうこの世界にいなくても』が話題を呼んでいる。タレントの眞鍋かをりさんは「『しあわせ』とは何なのか考えさせられた」と話す。

 * * *
 読後は、不思議な感覚に包まれました。読む前は「重くて感動的な闘病記」を想像していたのですが、そうではなかった。

 なんでだろう……。和さんの人柄が、逆境にあっても、驚くほどに明るくて前向きであること。そして、日記形式で、闘病が等身大で淡々と書かれていることが、本の読後感に強く影響しているように感じています。
 
「しあわせの基準は人それぞれ」という、当たり前だけれど、実は私も含めて多くの人が普段の生活のなかで忘れがちなことを、和さんは教えてくれました。和さんは、ステージIVの大腸がんとわかってもなお、「出産して母になる」という決断をしました。そのことについて、いろいろな意見をもつ人がいたようです。子供を産むことは、体に負担をかけないわけはありませんし、闘病に影響があるかもしれません。また、和さんが亡くなったら、娘さんは母親のいない子になり、お父さんはシングルで子供を育てることになります。

 考えるだけでも、くじけそうになるぐらい大変なことです。彼女と同じ立場だったら、私は産まないかもしれません。でも、和さんの思いや決断を読ませてもらい、それが「当たり前の感覚」ではないことが胸にささりました。人はそれぞれおかれた状況も違えば、しあわせの基準も違う。私のものさしで和さんとご家族のしあわせを測ってはいけないと感じました。彼女たちにとっては、それがしあわせだったのであり、そう信じたからこそ、奇跡のような出産が起こりえたし、家族3人の日々も実現できたのです。

「子供がかわいそう」と言う人もいるようです。私もひとりの親として、そういう考えを理解できる部分もあります。だけど、少なくともいま、和さんを失ってものすごくつらいなかで、娘さんの存在は、遺された家族にとってもしあわせの源になっているのではないでしょうか。最近、よく「炎上」という言葉が話題に上がりがちです。批判的な意見をSNSやコメント欄に書き込む人が増えたからだと思うのですが、そういう人たちは”自分のものさし”が正しいのだと、微塵も疑うことなく否定や批判をしてしまっていないでしょうか。私たちにはそれぞれ、他人には推し量ることのできない事情や、その人にしかわからないしあわせの基準があります。和さんは命をかけて、「自分のしあわせ」と「遺される人たちのしあわせ」を、全力で信じたのだと思います。

 私も和さんと同じく、娘をもつ母親です。母親になる前は「あの時こうしていれば良かった、ああしておけばよかった」と後悔することも多かったのですが、娘が産まれて、自分の生き方を全肯定できるようになりました。あの時、ひとつでも別の選択をしていたらこの子は産まれていなかったかもしれない、そう考えたら、人生の選択はすべて正解だったと思えたんです。そのくらい子供という存在は大きい。和さんもきっと、娘さんを授かって、自分の選択は正しかったんだと確信できたんじゃないかな。

関連記事

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト