かなり悪化するまで症状が出にくい腎臓は、肝臓と並ぶ「沈黙の臓器」。今や日本の成人の7人に1人は腎臓疾患を抱えている。70歳代の男性では、100人に1人がすでに透析療法を受けている計算になるが、救いは尿や血液検査で異常を早期発見できることだ。
「現在、日本では1480万人が慢性腎臓病患者です。腎臓を悪くする原因をなくせば腎不全にはならない。でも、いちど腎不全になったら治らず、あとは人工透析や移植しか残る道はありません」
と筑波大学教授の腎臓専門医、山縣邦弘氏は断言する。健康診断で腎機能低下を指摘されたら、正しい最新情報に基づき、今の自分ができることを探ろう。
以下に8つのセルフチェック項目を紹介しよう。1つでも当てはまったら腎機能低下が疑われる。一刻も早く、かかりつけの病院や一般内科で診断してもらうべきだ。
【もしや腎機能低下? こんな症状には要注意】
□水分をきちんと摂取しているわりに、尿の量が少ない
→1日の尿量が400~500ml以下は乏尿(ぼうにょう)。尿毒症の恐れあり。
□水分をたくさん摂取していないのに、トイレが近い
→健康なら1日5回程度、8回を超えると頻尿。腎機能低下による排尿障害かも。
□寝ていても、トイレに行きたくて何度も目が覚める
→睡眠時に2回以上トイレに起きる場合は頻尿。放置すると水腎症や腎盂腎炎(じんうじんえん)へ。
□いつも尿が泡立ち、その泡がなかなか消えない
→腎臓の糸球体で濾されなかったたんぱく質がもれる、たんぱく質の典型的症状。
□尿の色が茶、赤茶、黒っぽくなったりする
→膀胱、前立腺、睾丸の他腎臓の糸球体が炎症を起こして出血すると血尿に。
□起きたとき、顔がいつもむくんでいる
→水分がうまく排出されず、体重が増加するようになると肺水腫に至ることも。
□最近とくに疲れやすく、思うように力が出ない
→「イオンバランスが崩れる」「血液中の老廃物が排出されない」と、だるくなる。
□貧血でめまいや立ちくらみを起こすことが増えた
→腎臓からの造血ホルモン分泌に問題が生じると、貧血に。医者の診断を仰ごう。
※週刊ポスト2022年1月28日号