健康な生活を送りたいというのは万人の願い。ただ、普通に暮らしているつもりでも、知らずのうちに有毒物質が取り込まれてしまうこともあるという。お茶の水健康長寿クリニック院長で『脳の毒を出す食事』著者の白澤卓二さんは、有害物質の摂取量を減らすために、まぐろなどの大型の魚は月2回程度にすべきだと話す。
「大型の魚は、海での食物連鎖の頂点に近い。有害物質を含む工場排水で育ったプランクトンを食べた小魚を中型の魚が食べ、それらを大型の魚が食べます。そのため、まぐろやかつおなどには、水銀や鉛といった重金属が蓄積しやすいのです。特に養殖の魚は、より多くの重金属がたまっている可能性が高い。魚介類を食べるなら、あじやいわし、さんまなど天然の小魚の方がいいでしょう」(白澤さん)
管理栄養士の菊池真由子さんは、いわしの持つ解毒作用をすすめる。
「いわしに豊富なセレンは、水銀やカドミウムなどの毒性を軽減し、呼吸器などの粘膜を保護する作用もあります」(菊池さん)
とはいえ、まぐろやかつおは、重金属のリスクがなければ、それ自体は健康によい食材の1つ。絶対に食べてはいけないというわけではもちろんない。食べすぎを控えつつ、重金属の毒性を弱める食品を積極的に摂ればいいのだ。
「牡蠣には亜鉛が豊富に含まれており、これが重金属の解毒に役立ちます。また、亜鉛は脳や内臓、皮膚の細胞の生まれ変わりを助ける働きもあるため、脳や皮膚のデトックスという意味でも必須の栄養素といえます。亜鉛はジャンクフードなどに使われる質の悪い油脂を摂りすぎることなどで消費されると考えられ、現在、世界で20億人以上の人が亜鉛不足に陥っているとされます。牡蠣のほかにも、赤身肉やレバーなどでも摂取することができます」(白澤さん)
さらに、肝臓、腎臓の機能を高めるには、レモンとしょうがの組み合わせが効果的だ。
「レモンの酵素が肝臓を活性化し、しょうがのジンゲロールが脳を含む全身の血行をよくして、機能を高めることができる。食前にレモンとしょうがのしぼり汁を入れた常温の水を飲むことで、高いデトックス効果が期待できます」(白澤さん)
特にレモンの酵素は“老化たんぱく”といわれるAGEを減らす作用も認められている。AGEとはいわゆる“コゲ”のことで、食材を高温で焼いたり揚げたりしたときに、たんぱく質と糖質が変質した物質のこと。しわ、シミの原因になるほか、近年では動脈硬化やアルツハイマー型認知症との関連性も指摘されている。
※女性セブン2022年1月20・27日号