世間では仕事始めとなる1月4日、ツイッターに投稿された画像をきっかけに、現役陸上自衛隊幹部A氏の性的な画像や日記が流出した騒動が波紋を広げている。
問題となったのは一般人のアカウントによる投稿で、〈Aという自衛隊員(1等陸佐?)は駐屯地でこんなことをやっているんですか?〉という文言とともに、A氏と見られる男性と複数の女性とのキスや性行為中の写真が添付されていた。
ツイッターの投稿者に話を聞くと、これらの画像を入手した経緯について、「ダークウェブ(ハッカーなどがハッキングして得た情報が出回る地下ネットワーク)上に流れていた大量のデータの中から、要らないデータとして回ってきたものの中に入っていた」と明かした。
つまり、現役自衛隊幹部のパソコンがハッキングされていたということだ。しかも自衛隊関係者によると、「A氏はサイバー担当として国際的に認められたサイバーセキュリティの専門家の資格を持っており、サイバー防諜などの講習も行なっている」という。
A氏が所属する駐屯地の広報班は、「(流出の経緯などに関する)事実関係は現在調査中ですが、あくまでもA個人所有のパソコンからのものなので、情報漏洩問題にはならないと考えている」と答えた。
サイバー関係に詳しい国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう警鐘を鳴らす。
「私用のパソコンといっても、今回のケースのように国を守る重要人物の個人情報が流出した場合、それを手にした人が脅しの材料に使い、国の根幹を揺るがしかねない事態が起こる可能性もあります。今のハッカーはそういった情報を人質にして、身代金を要求する方法をとることもある。
バイデン大統領の息子も私用パソコンからデータが抜き取られていたことが問題になりました。米軍ではすでに基地の中に持ち込めるパソコンは厳しく制限されています。今回、自衛隊のセキュリティレベルの低さが露呈してしまったことで、他国のハッカーから狙われやすくなってしまうかもしれない。『私用のパソコンだから問題ない』で済まされる話ではありません」
防衛省・自衛隊は、サイバー関連部隊の増員を発表しているが、足をすくわれないようにしてもらいたい。
※週刊ポスト2022年1月28日号