「首チョンパ」「ゾッコン」「平家をぶっ潰すぜ!」──今年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、スタート早々こんなセリフで話題となった。鎌倉幕府成立前後の中世日本が舞台だが、登場人物たちは生き生きと時代劇らしからぬ言葉を口にする。それもそのはず、脚本を手掛けているのは三谷幸喜。『真田丸』以来となる“三谷大河”の見どころを探った。
1月9日から放送開始した『鎌倉殿の13人』は、俳優の小栗旬が演じる北条義時を主人公に、鎌倉幕府誕生の過程から初代将軍・源頼朝(大泉洋)の死後に繰り広げられる権力争いまでを描く大河ドラマ。初回の平均世帯視聴率が17.3%と好発進を切ると、16日に放送された第2回でも14.7%を記録。同時間帯の番組の中では2週連続でトップを記録した。
とりわけ反響を呼んだのがユニークなセリフ回しだ。第1回の放送で義時の父・北条時政(坂東彌十郎)の口から「(平将門は)最後は首チョンパじゃねえか!」というセリフが飛び出すと、ネット上は大盛り上がり。Twitterで「首チョンパ」がトレンド入りを果たし、視聴者からは「面白すぎる」「さすがに笑った」「最高」「テンポ良くて飽きない」といった声が相次いだ。
コミカルなシーンを小気味よく取り入れた『鎌倉殿の13人』の脚本を手がける三谷幸喜といえば、これまでも『新選組!』(2004年)や『真田丸』(2016年)で大河ドラマの脚本を務め、時代劇の“マナー”を時に逸脱するようなユニークな台詞や演出が話題を集めてきた。
三谷脚本の巧みさについて、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)の著書があるドラマ評論家の成馬零一氏はこのように指摘する。
「平安末期から鎌倉前期という、大河ドラマではあまり描かれていなかった時代を北条家の視点から描くという難題を、三谷幸喜がどうクリアするのか楽しみです。『首チョンパ』という言葉まで飛び出すくだけた会話劇は、馴染みのない時代を視聴者にわかりやすく伝えるための戦略だろうと思います」