臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、元東京都議会議員・木下富美子被告のモラルの低さに見る“質の悪い議員”について。
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「おっしゃるほどたくさんでしょうか」
交通違反を重ねた理由について裁判官に問われると、元都議の木下富美子被告はそう答えたという。この場でそう言ってしまえるとは、いったい彼女のモラルはどうなっているのか。この人は都議になる前からこういう人だったのか。それとも議員になってからこうなったのか。
昨年7月の東京都議選の期間中などに、無免許運転を繰り返し在宅起訴されていた木下元都議の初公判が1月25日、東京地裁で行われた。昨年11月、2度の辞職勧告決議、3度の召喚状の末に登庁した時の赤いワンピース姿は衝撃的だったが、その後の会見で、辞職の決断理由として「父の安全が脅かされる事態になったから」、「議員として十分な仕事がさせてもらえない理不尽な現実に悩んだ」と語ったのには呆れた。
今回の裁判では、「罰金を払うことで償いをしている認識」、「交通違反をすることで学習して、違反の内容に気を付けようという認識」と言えるほど順法意識が低かった。今さら辞職した人をあれこれ言っても仕方ないが…。
SNSの普及により、今や議員などの公職に就く人が何か問題を起こせば、すぐに世間に知れ渡るようになった。全国の市町村では、暴言を吐いたり問題行動をしたり、事件や事故を起こしたりする議員が後を絶たない。許容範囲を越えたケースを目にする度に、選挙で投票する前に分からないものだろうかと思う。議員としての資質を本人がどう思っているかは別にして、有権者には彼らの詳しい情報は分からないのだ。そう考えると政界は、まるで「レモン市場」のように見えてくる。