日曜夜のTBSの老舗ドラマ枠といえば、日曜劇場。最近もヒットが続いているが、ある傾向が顕著だという。それは物語の中心に描かれるのが実在しない「架空の組織」であるということ。その狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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日曜劇場『DCU』(TBS系)が今冬ドラマの最高視聴率を記録するなど、上々のスタートを切りました。同作は海上保安庁に新設された水中捜査のスペシャリスト集団「DCU」の活躍を描くウォーターミステリーで、TBSがハリウッド大手制作プロダクションと共同制作するなど海外展開を前提にした力作です。
特筆すべきは、ドラマタイトルでもある「DCU」という組織。これは「Deep Crime Unit(潜水特殊捜査隊)」の略称で、警察の捜査では困難な水中での捜査に特化した架空の組織です。
架空の組織と言えば、記憶に新しいのが昨夏に放送された『TOKYO MER~走る緊急救命室~』。「MER」は、「Mobile Emergency Room」の略称で、最新の医療機器とオペ室を搭載したERカーが事故や災害の現場に駆けつけ、救命処置を施すチームの活躍が描かれました。
さらに昨秋には『日本沈没―希望のひと―』の中核を担った「日本未来推進会議」も架空の組織。こちらは各省庁の次代を担う若手官僚を集めた組織で、日本沈没という未曾有の危機に立ち向かう姿が描かれました。
「TOKYO MER」「日本未来推進会議」「DCU」…日曜劇場は昨夏から3作連続で架空の組織をテーマにした物語を手がけているのです。ちなみにその1つ前の『ドラゴン桜』も、弁護士の桜木健二(阿部寛)と水野直美(長澤まさみ)を中心にした架空の「東大受験対策」組織を描いた作品と言えるかもしれません。
なぜ日曜劇場はこれほど架空の組織にこだわった作品を放送しているのでしょうか。