中国のジャイアントパンダは、ほとんど笹だけしか食べないことで知られているが、それにもかかわらずかなり太っているのは「パンダの大腸などにパンダの体全体に脂肪をつけるのを助ける腸内細菌が繁殖しているためだ」との中国の動物学者の研究成果が、国際的な専門誌『Cell Reports』に発表された。
これは中国科学院動物研究所の黄光平研究員が長年の研究から導き出したもので、「クロストリジウム・ブチリカム」という腸内細菌の一種が、パンダの体重増加と脂肪蓄積を促進するという。中国各紙が報じた。
クロストリジウムの中でも特殊な「クロストリジウム・ブチリカム」は、世界で初めて「ミヤイリ株」として日本で発見され、「下痢症の治療薬(プロバイオテックス)」として使われている。
中国の研究者は、パンダが春から夏にかけてのタケノコの季節になると、体重が増加することから、パンダの糞便を分析したところ、ミヤイリ株が多く含まれていることを発見した。
パンダの場合、クロストリジウム・ブチリカムは、タケノコの栄養分を吸収して、体重増を促進していると考えられる。
研究チームはパンダの菌をネズミに移植したところ、タケを食べたパンダの菌を移植したネズミが他のネズミよりも体重が増加するとの研究成果を得ており、この菌がパンダの代謝にも影響を及ぼしているという。
この腸内細菌がパンダの健康状態や成長に深くかかわっていることが判明したが、研究グループは「腸内細菌が人間にどのような作用を及ぼすのかなど、今後の研究につなげていきたい」としている。