1月25日、分裂抗争中の六代目山口組の司忍組長が80歳の誕生日を迎えた。この日、警察とマスコミは注意深く六代目山口組の動向を見守っていた。
「昨年末、傘寿を迎えるタイミングで司組長が引退を発表し、ナンバー2である高山清司若頭に七代目を禅譲するのではないかといった話が暴力団界隈で出回っていたんです。高山若頭も今年75歳になるため、時期的にもあり得る話だと見られていた」(全国紙社会部記者)
結局、この日、六代目山口組にはそのような動きは確認できず、「情報戦に踊らされた」(同前)と徒労に終わったという。
これまで山口組の代替わりは暴力団社会だけではなく、一般社会にも影響を及ぼしてきた。1984年、竹中正久四代目組長就任に反対した直系組長らが離反し、一和会を結成。その後、市民にも負傷者を出し、暴力団史上最悪の山一抗争が起きた。
ノンフィクション作家の溝口敦氏はこう語る。
「司組長の禅譲は近いと見ています。田岡一雄三代目組長から竹中四代目への移行のとき、組内では、“田岡さんが遺言を残しておいてくれさえしたなら、ここまで揉めることはなかった”という声がありました。暴力団の組長は原則、終身制ですが、司組長も高山若頭も高齢であり、禅譲する年齢を決めておかないと揉める原因になると考えているでしょう」
七代目の最有力候補と見られる高山若頭だが、就任には懸念の声もある。
「6年半も続く分裂抗争の原因は高山若頭の強権支配にあったと見られていますが、組内にも“反高山派”はいて、その証拠に分裂抗争に参加していない直系組織があります。高山若頭が七代目になると(司組長や高山若頭の出身組織である)弘道会一強体制が続くことになるため、反対する勢力が出てくるでしょう。山口組内で新たな分裂が起きてもおかしくはない」(同前)
さらなる抗争の火種が生まれかねない。
※週刊ポスト2022年2月11日号