ライフ

「左利きから右利きに矯正」で何が起こる? 養老孟司氏が抱く独特な感覚

幼い頃に右利きに矯正された経験を持つ養老孟司氏(写真/共同通信社)

幼い頃、右利きに矯正された経験を持つ養老孟司氏(写真/共同通信社)

 かつては望ましくないとされて幼少期に矯正されることが多かった「左利き」の特性にフォーカスし、そのポテンシャルを探った『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)が12万部を超えるヒットとなっている。

 著者である加藤プラチナクリニック院長で脳内科医の加藤俊徳医師は、「僕自身が左利きで苦労した経験があり、それゆえに左利きならではの優れた点を探り、まとめたいと考えました」と語る。

 同書は左利きの人の脳について様々な角度から分析。「天才」と言われたり「変人」と見られたりする理由を数多くの関連研究とともに紹介している。

 そもそも右利きと左利きという利き手が生まれる理由について、加藤氏は「利き手を作ることで脳と体の負担を減らすため」だと説明する。たとえば、転倒しそうになった時にとっさに右手でかばうなど、優先順位をあらかじめ決めておくことで脳の処理速度が速くなり、結果として体を守ることにつながるという。

 ただし、日本の左利き人口は約1割と言われ、加藤氏は「社会に立ちはだかる“1対9の壁”は大きくて高い。9割の人が作っている右利きの世界では、左利きが生きにくいと感じることが圧倒的に多い」と語る。

 それでは、当事者たちは左利きであることをどう捉えているのか。

 東京大学名誉教授で作家の養老孟司氏(84)は、幼い頃に左利きから右利きに矯正された。その経験から、“1対9の壁”についてこう語る。

「戦時中生まれなものですから、集団行動をするのに左利きだと具合が悪い。右向け右で一斉に行動するのに、“ぎっちょだと乱れる”と言われ、左利きは矯正されました。銃も左利き用のものはありませんでした。

 一方、左利きが日常生活でストレスを溜めやすいのは確かです。たとえば、ヨーロッパなんかでは右利き用のドアが当たり前で、それを左手で開けるのは非常にやりにくい。そのため、“左利きは短命だ”という話もあるのでしょう」

関連記事

トピックス

6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン