米国のマイク・ポンペオ元国務長官は1月下旬、米ヒューストンで開催された「アーガス・アメリカス・クルード・サミット2022」に出席。トランプ前政権で自身が中央情報局(CIA)長官と国務長官を務めていた期間について、「米国はまさにテロとの戦いから、中国共産党台頭の脅威に直面する移行期間だった。中国は今後、これまで欧米諸国が築いてきた世界の政治バランスを破壊する可能性が大きい」と指摘し、中国の台頭に警鐘を鳴らした。
ポンペオ氏が昨年2月の国務長官辞任後、公の場で講演するのは極めてまれで、ネット上では「次期大統領選をにらんで、活動を開始した」などの声が出ている。
ロイター通信などによると、ポンペオ氏は、中国共産党による影響力の増大は台湾への軍事圧力や新疆ウイグル自治区の少数民族の弾圧にとどまらず、世界全体の国際秩序の破壊にかかわる問題だと指摘。「すでに、米国や欧米諸国、アジアの近隣諸国などは中国の野望に気が付いており、今後は中国との対立は激しさを増すだろう」と自身の予測を披露した。
中国の国際的台頭について、ポンペオ氏はニクソン米大統領が1972年に中国を訪問し、毛沢東主席と米中国交回復で合意した時点で予測できたなどと語ったうえで、「中国共産党の民主主義的な変化を期待したニクソン政権の大きな失態だった」と述べて、当時のニクソン政権の外交政策は失敗だったと断じた。
ポンペオ氏は昨年12月中旬にも、ツイッターで対中批判を展開。2月4日に開催する北京冬季五輪に選手団を派遣しない「完全ボイコット」を主張。「バイデン(米大統領)による五輪の外交的ボイコットは不十分だ」などと述べて、バイデン政権の対中政策は中途半端だなどと批判している。
ポンペオ氏は国務長官辞任後、トランプ前政権と近かったことで知られる米政策研究機関「ハドソン研究所」に所属し、次期大統領選への出馬に意欲を示しているとも伝えられている。