北京五輪のため「ゼロコロナ政策」を掲げ、徹底した感染対策を行っている中国当局。1月31日の北京の新規感染者数は、市民約2200万人のうち3人。1月15日にオミクロン株の感染者が確認されてからも、爆発的な感染拡大は起こっておらず、累計感染者数は121人に留まっている。
また、2021年の国内感染者が累計で1万6000人を超えているにもかかわらず、2021年1月から1年間の「死亡者はゼロ」と発表されている。この数字を真に受け、「ゼロコロナ政策の賜物だ」と感心する人は少ないだろう。
「実際、アメリカの中央情報局(CIA)は、早くから“中国は感染者数をかなり少なく報告している”と警告していました。違和感を覚えるのは感染者数だけじゃありません。北京五輪開催で国外から来る選手やスタッフのため、さまざまな“熱烈歓迎工作”が施されていますが、なかには眉をひそめてしまうものもあります」(国際ジャーナリスト)
その最たるものが、安定しないPCR検査の結果だ。中国入りする96時間以内に2回、それに加え、入国の際に空港でPCR検査が課されるが、「偽陽性」が相次いでいる。
「1月27日に空港検疫で陽性となったロシアのバイアスロンチームの監督が、翌日の再検査では陰性となりました。このような陽性判定の後に改めて検査した結果、陰性となるケースが開幕7日前の時点で、すでに10件発生しています」(現地ジャーナリスト)
理由は現地のPCR検査の判定基準が厳しすぎること。これがデータの信頼性を欠く結果を招いているのだ。
「PCR検査で感染しているかどうかの判断基準となる数値Ct値といい、数値が低いほど保有しているウイルス量が多い。日本を含めてほとんどの国は30〜35を境界とし、それを下回ると陽性としているのに対し、中国は40以下で陽性となってしまうんです。たとえ感染していなくても、引っかかってしまうような基準値のため、検査の翌日に数値が改善し陰性になるケースが増えているのかもしれません」(前出・国際ジャーナリスト)
五輪開催前から、北京の周辺都市ではロックダウン(都市封鎖)が始まり、日々の生活に大きな影響が出ている。
「昨年から『肛門PCR検査』が導入されたのですが、非常に不快です。文字通り肛門から綿棒を入れ、回転させて粘膜を採取する方法で、口や鼻からの検査より短時間で終わり精度も高いとされています。アメリカや日本政府は“心理的苦痛が大きい”として自国民にこの検査を行わないように申し入れをしていますが、中国人には行われています」(前出・国際ジャーナリスト)
北京からほど近い天津市や西安市などでは、ロックダウンに住民の怒りが爆発し、警官隊と衝突する暴動も起きている。
「東京五輪の開催反対デモより強烈です。その代わり中国は警官隊も強力なので、すぐに沈静化されますが、こうした衝突が北京市でも起きないか心配です」(競技関係者)
選手たちがメダルとともに無事に戻ってくることを願いたい。
※女性セブン2022年2月17・24日号