放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。高田氏が、2022年春に終了するテレビ・ラジオの長寿番組についてつづる。
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オミクロンがどんどん広がり、私の仕事のまわりだけでも春風亭昇太、ナイツ、オードリー、林家たい平と次々。何だって前倒し、せっかちな東京っ子の高齢者としては早くもワクチン3本目だ。猛打賞である。早めに打っときゃ周りも私に気を遣わずに済む。中には「代打で一本喋ってくれませんか」なんて話もあってこの節、私は「ラジオ界のあぶさん」とも呼ばれている。
さあ学生達と同じようにテレビ・ラジオ界も卒業シーズンである。かつてのヒット曲に『青春時代』というのがあって“卒業までの半年で 答えを出すと 言うけれど~”。なにやらテレビ局の編成みたいな歌詞だが、出したのが長寿番組やらレジェンド達の終了という答えらしい。“レジェンド”と言えば聞こえもいいが「レ」を取れば“ジエンド”ってことですからネ。うまい! 宮治ザブトン一枚。
番組名を見ているだけでおどろきだ。桂文枝が51年続けた『新婚さんいらっしゃい!』。78歳ともなると椅子からコケるのも命がけらしい。私が社会に出て働き出してから51年、ずっと「いらっしゃーい」なのだ。だったら降りずに新婚ではなく結婚50年の人を集めて『金婚さんいらっしゃい!』ってのはどうだ。たいてい片っ方は死んじゃってるか? 貧しい夫婦を紹介する番組『貧困さんいらっしゃい!』は? 駄目?
落語界西の看板が終わったら東の看板も。立川志の輔の『ガッテン!』も27年やって終わる。これはガッテンしかねるネ。NHKの会長は大ナタ振るう大改革とかで『紅白歌合戦』もやめるかもしれないんだって。エ!? 私が見ている『プロフェッショナル 仕事の流儀』も週イチから月イチになるの? オレの流儀と違うなあ。高齢者の見る物がどんどん無くなっていく。
仁鶴師が亡くなったこともあるけど『生活笑百科』も37年で終了。週に一回生でビートたけしを見るのも楽しみだった『新・情報7Daysニュースキャスター』もあの謎のジャーナリストがいなくなるの? 残り2か月だったらどうせやめるんだ、とんでもない発言の数々を続けたらどうか。放送史上初とも言えるビーンボールな発言。しかられたら「年のせいでボケちゃったもので」で済むと思う(済むか!?)。『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』が27年。昼間やってる坂上忍の『バイキングMORE』も8年で終わっちゃうんだね。ラジオ界はTBSが大さわぎで『伊集院光とらじおと』がゴタついて6年で終わり。大沢悠里も36年で去って行った。
そんな中、私のラジオは34年。まだまだやってる。
イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2022年2月11日号