国内

感染力が強い亜種「ステルスオミクロン」の脅威 検査すり抜ける可能性

(共同通信社)

さらに感染力が高まった「ステルスオミクロン」も出てきた(共同通信社)

 感染者が大きく増加している新型コロナウイルスのオミクロン株。デルタ株に比べると症状が軽いといわれるが、ここに来て新たな脅威が出てきた。「ステルスオミクロン」の存在だ。

 これはオミクロンの亜種で、従来型のオミクロンより感染力が18%高い可能性がある。ウイルス表面のスパイクたんぱく質の変異が従来型と異なり、オミクロン検出用のPCR検査をすり抜ける可能性があることから「ステルスオミクロン」と呼ばれる。

 すでにデンマークやノルウェーなどで増加傾向にあり、国内検疫でも300件以上確認されている。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが説明する。

「要は感染力の強い亜種が出てきたということ。オミクロンは、症状は軽いけれど弱い人にうつすと危ないわけです。健康な人は必要以上の警戒はいりませんが、高齢者や持病のある人にうつしてしまい、寿命を縮めないよう注意すべきです」

 血液内科医の中村幸嗣さんは、感染ピークへの影響を心配する。

「各国の傾向や過去のデータから、オミクロンの感染がピークを迎えるのは2月初旬になると考えられます。そこから感染者が減少し、医療逼迫が解消されるまで2週間ほどかかると想定されます。

 すでにステルスオミクロンへの置き換わりが進む国もあるようですが、現段階での〝実力〟は不明です。本当にステルスオミクロンの感染力が強くなっていれば、ピークを迎えるオミクロンを上書きして、感染者がさらに増える可能性があります。すると救急外来の機能不全が続くことになります」(中村さん)

感染者の電話対応に追われる保健師たち(東京・品川区、共同通信社)

感染者の電話対応に追われる保健師たち(東京・品川区、共同通信社)

 オミクロンは症状が軽くても感染者が増加すれば、一定の割合で重症者が増えていく。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんは言う。

「今回の第6波の死者数も急激に増えており、昨年のデルタ並みのペースです。このまま感染者が増えると医療が逼迫して、2月中旬には重症者が自宅療養に追い込まれるかもしれません」(一石さん)

 感染者増を食い止めるカギを握るのは、どこまで行っても「感染対策」でしかない。

※女性セブン2022年2月17・24日号

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