ライフ

「花粉症の人はがん死亡率が52%低い」の研究報告 解明にはまだ調査が必要

花粉症とがんにどんな関連性が?(イメージ)

花粉症とがんにどんな関連性が?(イメージ)

 鼻水とくしゃみに悩まされるシーズンがやってきたが、こんな研究が注目を集めている。「花粉症患者はがんで死ぬリスクが低い」──東大医学部の研究チームがまとめた論文は、長年ムズムズと悩まされてきた人にとって朗報なのか?

 日本人の3割近くが患い、「国民病」とも言える花粉症。毎年、春になると悩まされてきた人には何とも厄介だが、2016年にアメリカの学術誌『Clinical & Experimental Allergy』に、日本人研究者の論文が掲載された。

《花粉症を発症していると、がんによる死亡率が52%低くなる》

 論文のもとになった調査では、群馬県に住む47~76歳の中高年層で花粉症の人と花粉症でない人合わせて8796人を対象に調査し、2000~2008年まで8年間の調査期間中に亡くなった748人の死因と花粉症との関連性を調べた。

 その結果、花粉症のアレルギーを持つ人は持たない人と比べて、がんの死亡率が低いことがわかったというのだ。

たまたま発見した

 この論文を執筆した東京大学大学院医学系研究科の小西祥子准教授が語る。

「群馬大学が先行して行なった生活習慣と健康状態や死亡率を調査した研究に追跡調査を加えて解析しました。大まかに言うと、花粉症の持病がある人は調査したすべての死因における死亡リスクが、花粉症ではない人の6割ほどと低かった。がんについては、花粉症の人は花粉症でない人よりも5割ほど死亡リスクが低いという結果になりました。

 調査対象となった人たちの花粉症や高血圧、糖尿病といった様々な持病と、がんや心血管系疾患といった死因となる疾患の関係性を調べているうちにたまたま発見したのですが、花粉症があるかないかで大きな差異が出たので驚いて論文にまとめました」

 小西氏らは、外傷などの外因死、新生物(がん)全般、心血管系疾患、胃がん、消化器系がんと死因を分けて調べたという。胃がんや消化器のがんを個別にみるとサンプル数の不足で統計的に差が出なかったが、すべてのがんを調べたところ花粉症ありの死亡リスクが明確に低かったのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン