中国の2022年度大学院修士課程の入学試験が昨年末に終了し、志願者数は457万人に達し、前年の377万人から80万人増加して、過去最多を更新したことが明らかになった。総合教育ポータルサイト「中国教育在線」が発表した「2022年全国大学院生募集調査報告」は、大学院人気の原因について、「受験生の60%近くが就職活動の競争は大変だと考え、競争力を付けるために大学院進学を選択した結果だ」と指摘している。
中国では大学院を志望する大学生が増加を続け、2017年は初めて200万人の大台を突破して201万人に、2020年には341万人に達している。
そして、2022年には一気に400万人を大幅に突破するなど、大学院人気の高まりが止まらない勢いで、2016年から2022年の7年間の平均増加率は15.8%となっているという。
中国青年報社(China Youth Daily)社会調査センターが現役の大学生に大学院進学に関するアンケート調査を行ったところ、「有名大学の大学院に入るため」「就職に有利だから」「就職のプレッシャーからいったん逃れるため」「興味のある分野について突き詰めるため」などといった回答が並んでおり、大学院入学と就職が密接に結びついていることがうかがえる。
実際問題として、大学院卒業者と大学の学部卒業者、また専科(短大、専門学校に相当)卒業者の初任給はどれくらい違うのか。
中国の名門、北京大が2021年の大学卒業者と大学院修士や博士課程の修了者計約2万人の初任給の平均月額を調べた「全国大学卒業生就職リポート」(今年1月発表)によると次の通りだ。
大学院の博士課程修了者は1万4823元(約26万6956円)、修士課程修了生は1万113元(約18万2131円)、大学卒業生は5823元(約10万4869円)、専科が3910元(約7万417円)で、その差は歴然としていた。
ネット上では「大卒の初任給は5823元」がホットワードになり、一時は検索件数が新型コロナウイルス関連のニュースを上回るほどで、「やはり、大学院に進んで勉強した方が給料が全然違う。勉強は大変だけれども、学部卒で就職に苦労しても大学院博士課程卒の3分の1、修士課程の半分ならば、大学院に進んだ方が楽だね」などとの書き込みがみられている。