元横綱・白鵬の間垣親方が動き出した。現在は宮城野部屋付きの親方だが、8月には宮城野親方(元前頭・竹葉山)が定年を迎え、東京・墨田区にある部屋を継承するとみられている。
「その白鵬が、自らの部屋のために浅草(台東区)の料亭の土地・建物の購入を決めたと『週刊文春』で報じられた。料亭は昨年7月に閉店し、今年に入って物件は一度、不動産会社が買い取っている状況です」(担当記者)
土地は97坪、建物は1990年に建てられた地下1階、地上5階の全館数寄屋造りで、「4億~5億円の物件」(同前)とされる。
現役中から言動で物議を醸し、引退後も銀座にガラス張りの部屋を作るなどと囁かれたものの、浅草に落ち着いたことには“計算”がありそうだ。
「執行部に睨まれ、『間垣』襲名の際は“ルールやマナーを逸脱しない”といった誓約書にサインまでさせられた。そのため場所中も場内警備などの業務を確実にこなし、ファン対応も丁寧。8月の部屋継承に向け、優等生を通して理事会で横槍を入れさせないつもりでしょう」(前出・担当記者)
銀座のガラス張りの部屋では、“優等生”にならないということのようだが、浅草を選んだのは他にも理由がありそうだ。
「日本橋界隈の物件にも興味を示すなど、白鵬は国技館周辺の下町で探していた。将来の理事長候補と目される元横綱・稀勢の里の二所ノ関親方を意識してのことでしょう」(若手親方)
元・稀勢の里は出身の茨城県牛久市に近い阿見町に300坪の土地を購入し、5月に新しい二所ノ関部屋を完成させる。
「ミーティングルームや2面の土俵を設置するなど、既成概念に縛られない部屋を目指す稀勢の里にとって、限られた資金で広大な敷地を手に入れるために茨城にする必要があった」(同前)
一方で、国技館までは1時間半もかかる。
「両国から離れすぎた場所に部屋を開くことには、協会内で“弟子のことを考えていない”といった批判もある。資金力のある白鵬はそういった声を把握したうえで、都心に部屋を構えて協会内での求心力を高めようとしているのだろう」(同前)
アクセスのいい都心か、広々とした郊外か──かつて番付の最高位で対峙した2人の対照的な“物件選び”の結果はいかに。
※週刊ポスト2022年2月18・25日号