ヤマダ電機(当時)と東証2部上場の住宅設備メーカー「アサヒ衛陶」(大阪市)の業務提携に関する未公表情報を基に株取引をしたとして大阪地検特捜部は1月26日、2人の容疑者を逮捕した。
「金融商品取引法違反(インサイダー取引)の疑いで逮捕された一人が、『アサヒ衛陶』元役員の上中康司容疑者(59)だったことが波紋を呼んでいます。上中容疑者は同社を退任後、2012年と2014年の衆院選京都2区に自民党から出馬(いずれも落選)したこともある京都の有名人。今回の逮捕を聞いた自民党京都府連は大騒ぎになっています」(全国紙記者)
衆院選に立候補した上中容疑者は「会社再建のコンサルティング会社をシンガポールで経営していた」と経歴を語っていた。地元財界人はこう語る。
「上中氏は上中商事という会社を経営していますが、実態は謎に包まれていた。衆院選に立候補した本当の目的は、ビジネスで信用を得るためだったのではないかと囁かれていました」
自民党関係者が言う。
「衆院選の公募面接の時に、ベテラン議員に『選挙にはお金がかかるが』と質問された上中氏が『私は2億円しか持っていません』と答えたという逸話があります。当時、彼を候補者として擁立したのは、自民党がその資金力を当てにしたのでは、とも言われました」
今回のインサイダー取引事件の舞台となったのは、上中容疑者の会社だった。2017年8月にアサヒ衛陶の元社長からインサイダー情報を入手し、上中容疑者が経営する上中商事の旧商号「サクシード」名義でアサヒ衛陶株5万株を計581万円で購入、さらに同年8~11月、サクシードなどの名義で65万株を計8688万円で買い付けていた。
その上中容疑者は、落選後も自民党との関わりがあったようだ。インサイダー取引を行なった後の上中容疑者から自民党が政治献金を受けていたことがわかった。
自民党京都府連の会長である西田昌司参議院議員の選挙区支部や政治団体(一粒会・他)に、2019年に上中商事から12万円、上中康司名義で3万円、2020年にも上中商事で12万円の献金を行なっている。