世界中から注目された羽生結弦(27)の挑戦が、ひとまず終わった。試合後のインタビューで羽生は「報われない努力だったかもしれないけど、でも一生懸命頑張りました」と3度目の五輪を振り返った。
北京五輪男子フィギュアスケートのフリースケーティングで、ショートプログラム8位の羽生結弦は演技冒頭で前人未到の4回転アクセル(4回転半ジャンプ)に挑むも、着氷でこらえることができず転倒。その後の4回転サルコウでも転倒したことも響き、以降のジャンプはすべて成功させたもののフリーで188.06点、トータル283.21点で4位に終わった(*採点表上は4回転半の回転不足の判定となり、ジャンプの種類としては4回転半として扱われている。これはISUの公認大会では初の認定)。
「全部出し切ったというのが正直な気持ちです。明らかに前回大会よりもいいアクセルを跳んでましたし、もうちょっとだったなと思う気持ちももちろんあるんですけど、でも、あれが僕のすべてかなって」
試合後のインタビューで羽生はそう切り出すと、「もちろんミスをしないということは大切だと思いますし、そうしないと勝てないのはわかるんですけど、でもある意味あの前半2つのミスがあってこそ、『天と地と』という物語が出来上がったのかなと思います」と自身の挑戦を振り返った。
「いやもう、一生懸命がんばりました。正直、これ以上ないくらい頑張ったと思います。まあ、報われない努力だったかもしれないですけど、確かにショートからうまくいかないこともいっぱいありましたけど、むしろ今回うまくいかなかったことしかないですけど、でも一生懸命がんばりました。ありがとうございました」
まだ誰も成し遂げたことのない4回転アクセル成功が、平昌以降の羽生のモチベーションだった。4回転アクセルは「自分の夢でもあり、みんなの夢」でもあった。
平昌に続く94年ぶりとなる五輪3連覇の偉業に向けて、ショートプログラムではリンクの溝に足を取られるという不運のアクシデントで8位となってしまう。4回転アクセルを世界で初めて決めて奇跡の大逆転というシナリオが期待されたが、叶わなかった。しかし、挑戦を終えた羽生結弦はどこか清々しいような表情をしていた。