本来は不正を報じる立場の新聞社社員が、「盗撮」の容疑で逮捕された。1月25日、兵庫県や静岡県などの露天風呂で盗撮を繰り返したとして3人の男が逮捕された。そのうちの1人は北海道「苫小牧民報社」に勤務する39歳の社員で、ほかに岡山県の32歳、茨城県の49歳の無職男性が逮捕された。
今回の事件で注目されたのは、居住地も異なるメンバーによる「組織的な犯行」だったことだ。3人は露天風呂から100メートルほど離れた林のなかに隠れ、さらに迷彩柄の布で自分たちの身をカムフラージュし、露天風呂に入浴中の女性を望遠レンズ付きビデオカメラで撮影したとされている。
彼らはインターネットの掲示板で知り合ったという。性犯罪に詳しいノンフィクションライター・諸岡宏樹氏が言う。
「このグループはカムフラージュのためにサバイバルゲームのような恰好をしていた。性的な目的だけでなく、いかに『上手く撮影するか』という点を追求していた可能性があります」
諸岡氏は押収された彼らのカメラ機材の性能などについて、専門家に解析してもらったという。
「大量に押収されたバズーカのような長い望遠レンズは本来、野鳥などを撮影する際に使うものだそうです。高額ですし、『とても1人の人間が所持する量ではない』とのことでした。撮影の際にカムフラージュの布も使っているので、恐らくバードウォッチャーと見せかけて覗きをしていた常習犯でしょう」
これまでの組織的な盗撮犯と異なるのが、目的が「仲間内で見せ合う」ところだ。
「かつては盗撮した動画をアダルトサイトなどで販売するケースが多かったが、今回の犯行は趣味のようです。彼らは基本的に『誰よりも綺麗な動画を撮る』ことに対抗意識を燃やしますが、盗撮スポットを共有し、“徒党を組んだ”ということはそれだけ仲間意識が強かったのではないか」
動機はどうあれ、許される行為ではない。
※週刊ポスト2022年2月18・25日号