同ライブでは最新曲も披露。草野氏はそのボーカル力とパフォーマンス力にも注目する。

「音楽的には、インターネットミームとなった『シル・ヴ・プレジデント』や『メンタルチェンソー』に代表されるように中毒性の高い曲が多く、少し不穏な歌詞を明るい声で歌うというギャップがクセになりますね。

 最新曲の『ちきゅう大爆発』では歌い方のアプローチを変え、新たな魅力を開花させています。難易度が高い楽曲が多いため元々歌唱力には定評がありましたが、ライブにおいてもその高いボーカル力とパフォーマンス力で観客を魅了しており、確かな実力を感じました」(草野氏)

VTuber業界にもインパクト

 YouTuberというだけでなく、声と絵を用いた“声系”の活動者であるP丸様。は、CGモデルの姿で動画配信を行ういわゆるVTuberにも少なくない影響をもたらしているようだ。多くの人気VTuberがP丸様。の楽曲をカバーしていることを第一に挙げつつ、VTuberに造詣が深いライターの泉信行氏はこのように説明する。

「これまでのVTuberシーンでは1時間程度のライブ配信が主流となっていました。しかし少し前から大手プロダクションでも10分前後のエンタメ動画や、YouTubeの新機能であるショート動画などの制作に力を入れる流れが生まれています。これらは、P丸様。や『すとぷり』に代表されるような短めのエンタメ動画を好んで見る若年層の需要と一致しているという見方もできそうです。P丸様。のTiktokにおける若年層への爆発的な人気も、ショート動画などの新しいコンテンツに挑戦するVTuberを後押ししていると言えるのではないでしょうか」

 6人組エンタメユニット・すとぷりも、昨年大きな反響を呼んだYouTuberで、P丸様。の初ワンマンライブに3Dモデルの姿でゲスト出演もしている。泉氏によれば、P丸様。やすとぷりの躍進から追い風を受けて、ライブ配信とは異なる新たなコンテンツのムーブメントがVTuberシーンに起きている可能性もあるのだという。

 大ブレイクを果たし、他のクリエイターのコンテンツ制作に影響をもたらす一方で、初のアルバムリリースやワンマンライブの実施など、挑戦を続ける「P丸様。」。今年はいったいどんな飛躍を見せることになるのだろうか。

◆取材・文/細田成嗣(HEW)

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