老化現象が加齢によるものか、薬の副作用によるものかを見極めるのは難しいが、厚労省の調査では、75歳以上で7種類以上の薬を飲んでいる人の割合は24.8%(2018年)。4人に1人がそれだけの多剤併用になっている。処方された薬の効能と副作用をよく知らずに飲み続けていると、知らぬ間に体に不調をきたしてしまうリスクが考えられるわけだ。
『週刊ポスト』は、医薬品類の承認審査や安全対策を担うPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページで公開されている医薬品の添付文書から、副作用に「緑内障」「視力低下」の記載がある薬をリストアップし、専門家の協力のもと、中高年が服用する機会の多い分類の薬について表にまとめた。
抗コリン薬の副作用には「緑内障」の記載がある。国際医療福祉大学病院内科学・予防医学センター教授の一石英一郎医師はいう。
「抗コリン薬とは、自律神経の副交感神経の働きを抑える薬です。たとえば排尿する時には自律神経が働くので、それを抑制するために頻尿治療によく使われます。その結果、交感神経が優位になるため、それが目にも影響して瞳孔が開きやすくなる。瞳孔が開いたままになると眼圧が高くなって、緑内障につながる可能性があります」
副作用に「緑内障」の記載がある薬には、抗うつ剤や抗精神病薬もある。銀座薬局代表薬剤師の長澤育弘氏はいう。
「同様に自律神経に作用する抗うつ剤も、目に作用して眼圧が高くなることがあります。眼圧は眼球内の液体が出たり入ったりすることで一定に保たれていますが、抗うつ剤によって瞳孔が開いたままになるとその逃げ道が塞がって眼圧が高くなり、結果として緑内障を引き起こす可能性があります。
体に異変を感じたら、自分でPMDAのホームページから添付文書を閲覧することができます。医薬品によって『緑内障の悪化』『急性緑内障』などと表記に多少の違いがあるかもしれませんが、いずれも同じような副作用を指していると考えていいでしょう」